第12話

父と母をいっぺんに喪った、あたしは施設に入るはずだった。





母は早くに両親を亡くしていて、天涯孤独。


父は、そんな母との結婚を反対され家を出た。と言ってた。




だから、あたしは、お祖父ちゃんお祖母ちゃんに会ったことはない。


ましてや、親戚なんて居るのかさえもわからない。




二人の葬式にも親族の席には誰も来なかった。



それでも、父と母は友達や仕事仲間に恵まれていたから、寂しい葬式になることはなくて。



色々な人に、手伝ってもらい葬式も終えた所で、父の親友の人が、あたしを引き取りたいと言ってくれた。





あたしも、その人のことは良く知ってるし、嬉しかった。



ありがたかった。



でも。





臆病なあたしは、迷惑をかけて、いつか邪魔だと…要らないんだと、言われるのが怖くて。




また、失うのが怖くて。



お断りした。

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