第89話

タイミングよく来たバスに乗り、



灯台入口のバス停を目指す。




流れていく見慣れた景色も


隣にマサトがいるってだけで 何だか新鮮に見えてくる。



はずむ会話。



マサトの手の温もりが心地いい。




ひとりじめ・・・、



してるんだよね?



誰にも邪魔されないで


一日一緒にいられるんだよね。




あぁぁ、


そう考えただけで

嬉しくて失神してしまいそう。
















バスを降り、とりあえず灯台の方へ向かってみることになった。



「へぇ。


こんなド田舎でも

やっぱ この時期はそこそこ混むんだな」



バスはそうでもなかったけど、


灯台へ向かう遊歩道はざわざわと観光客らしい人達の声が飛び交っていた。




暑いくらいの気温にまぶしい陽射し。



打ち寄せる波の音に 潮の香り。




『あ、あれ食べたい』



甘い匂いに 思わず足が止まる。



「太るぜぇ~🎵」



マサトがからかうように言った。



『いーの❗ 別腹‼』



小さな売店で ソフトクリームをひとつ買った。



「お、うまそうじゃん。


一口くれよ」



『あ』



言い終わらないうちに 素早い動作であたしの手の中にあるソフトクリームを舐めた。



『もぅ・・・』



ふくれてみせながら、


あたしもソフトクリームにかぶりつく。

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