第88話
「よし、行くぞ」
マサトはそう言うと、先に立って歩き出した。
『あれ? 今日は自転車じゃないの?』
マサトはいつも自転車のイメージだから、
そうじゃないと何だかおかしな感じだ。
「二人乗りは距離的にちょっと厳しいからな。
それに、
お前 すぐ大騒ぎするから、
近かったとしても マジ恥ずかしすぎ」
『マサトが荒っぽい運転するからじゃん』
この間のことを言ってるんだろうか。
だとしたら、騒がれても文句言えるような運転じゃないって、絶対。
「そんな怒るなって」
ぎゅ
『あ・・・』
不意打ち。
突然繋がれたマサトの手に驚きながらも、
嬉しくて
顔の筋肉緩みっぱなし。
歩きだと、
こんないいこともあるね。
『ね、どこ行くの?』
大通りの方まで出て来たけど、
何か当てがあるんだろうか?
「海の方まで行ってみようぜ」
バス停で足を止め、マサトが言った。
『うん❗』
声が弾む。
この潮浜市は 小さな漁師町。
一応、観光地ってことになってるけど
いまいち有名スポットにもなりきれていない
三方を海に囲まれた小さな町だ。
小さな頃から 海は身近な場所。
この辺は市街地だから、浜まではちょっと距離があるけど、
バスか市電で20分も乗れば、観光スポットとして外せない灯台の方まで簡単に出ることができる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます