第87話

雲ひとつない青空。




肌に心地良い南風。




体調バッチリ。




5月4日。



最高のデート日和。












『ねぇ澄歌、


おかしくないかな?



おかしくないよね?』



「美奏ちゃん、


もう10回は聞いたよ、そのセリフ。



おかしくないってば‼」




あたしはさっきから 自分の部屋とリビングとを行ったり来たり。




悩んで悩んで決めた服も、


いつもと雰囲気を変えて おろしてみた髪も、



似合ってないかな?


おかしくないかな?って



時間が経てば経つ程不安になってくる。




考えてみれば、


こうやって休日にデートするのって 今日が初めてなんだ。



マサトはいつも部活で忙しいし、


たまたまマサトの予定が空いても 今度はあたしが会えなかったり、


そんなことの繰り返しだった。




毎日のように一緒に帰っているのに。


側を歩くことにも慣れているのに。



何だかすごくドキドキする。



みんなの前でピアノを弾く時の100倍くらい


緊張して



それと同じくらいワクワクしてる。
















「よう」



マサトは約束の10時ぴったりに迎えに来てくれた。



ジーンズにシンプルなシャツ。



そんなラフな恰好だけど、


飾ったところのないマサトらしくて


すごく自然な感じで気持ちが和んだ。



初めて見るマサトの私服姿。



小さなことだけど、普段と違う雰囲気が嬉しくて、


思わず笑みがこぼれる。

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