第74話

「へぇ~❗


そんなことがあったんだぁ」



翌日。



あたしは さゆと絵里といつものようにひなたぼっこをしながら、


昨日の澄歌の一件のことを二人に話していた。



「美奏ちゃん、音楽ホント好きだもんね」



『うん』



さゆの言葉に、あたしは大きくうなずいた。



「でもさ、


美奏を見て音楽やろうって思ったんだったら


合唱部入ったらよかったのに」



絵里が不思議そうな面持ちで言った。



『歌はあたしが前にやってたから嫌なんだって。



パートも

フルートはお父さんと被るから嫌みたい。



家族の誰もできない楽器ってとこがミソみたいよ』



「なるほど。


そういう気持ちならわかるかも」



絵里も納得したみたい。



あたしは 身近にいる人からそういう刺激を受けたら、


同じ楽器をやってみたいと思ってしまう方だけど、



自分と違う楽器ができる家族が増えるのも面白そうだから


あたし的には全然OKだ。



「でもさ、


そういう心って、やっぱりちゃんと伝わるんだね」



さゆがしみじみと言った。



『え?』


「音楽好きってこと?」



絵里とあたしは思わず聞き返した。



「ん・・・。



サクッと言っちゃえばそういうことなんだろうけど、


もっと深いとこ・・・。



何て言うか、



音楽を愛する魂っていうのかな・・・」



『「魂?」』



絵里とあたしの声がきれいにハモった。



「うん。


ほら、よく職人さんの世界とかであるじゃない?



この伝統とか心を次の世代に伝えていってほしい❗ってやつ。



それを弟子とか子供とかがちゃんと感じ取って、受け継いでくみたいな。

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