第69話
「小春⁉ いつの間に⁉」
「え・・・っと、
桜井先輩の
"この曲いいよね。あたし好き"からです❗」
小春の物まねが何とも似てて、
あたしは思わず吹き出した。
「あたし、そっち見てたのに全然気づかんかったよ。
忍者か キミは⁉」
「何マヌケなツッコミしてんのよ。
こんな騒々しい忍者がどこの世界にいるっつーの」
のぞみがいつの間にか絵里の後ろに立ち、
譜面で軽く絵里の頭を小突いた。
「・・・っつーか、のぞみも趣味悪い‼」
絵里、ナイス突っ込み。
「それより桜井先輩、佐庄先輩、
この曲って、絶~~~~対 美奏先輩のテーマっぽくないですか⁉⁉⁉」
こっちは聞いちゃいないし・・・。
どーすんのよ、この収拾つかない集団‼
「テーマかどうかはわかんないけと、
美奏っぽいよね、
確かに」
絵里、切り替え早っっ‼
「ですよねですよね⁉
なんかすごく凛としてて。
あたしこの曲めちゃめちゃ好きです‼‼‼」
何だか照れくさいような ビミョーに恥ずかしいような おかしな気分だ。
確かにあたしもこの曲好きだけど、
あたしっぽいって言われる由縁が自分ではよくわからなかった。
「お前っぽい歌?」
帰り道。
さっきの話を早速してみると、
マサトはマヌケな声で食いついてきた。
『うん。
7月から始まるコンクールの課題曲なんだけどね』
「なんか面白そーじゃん。
その歌の歌詞、俺にも見せろよ」
『う、うん』
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