第62話

顔の筋肉が思わずちょっと緩む。



『で、でもさ』



あたしはマサトの顔を見ずに言った。



『マサトだって すごいじゃん。



バスケ 上手いし・・・、




それに・・・』



「それに、・・・何?」





『それに・・・・・・



モテるし・・・』




我ながらヤな奴。



ていうか、


口に出すつもりなんてなかったのに・・・‼



「何? 妬いてんの?」




『・・・よく出て来るね、


そういうオレ様なセリフ』



自己嫌悪に陥っているあたしに、


マサトは平然と言い放つ。



人がヒヤヒヤしてるのも知らずに、


ホント 女心のわかんない奴。




本気で怒っているわけじゃないけど、


わざとほっぺたを膨らませてみせる。



「ばーか」



マサトはそう言って あたしの頭を指でピンと弾いた。




『どういう思考回路だったら そこでバーカとか言えちゃうわけ⁉』



「お前がくだらねーこと心配してっからだろーが」



『な・・・⁉』



くだらないことって、



そりゃあ あたしは全然モテるようなタイプじゃないから、



マサトは何の心配もいらないだろうけど、


逆の立場は気が気じゃないんだからね❗




「他の奴らなんか関係ねーじゃん。



お前はお前だろ?」

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