第63話

『あたしは・・・、あたし・・・?』




マサトの意外な言葉に、あたしは思わず聞き返していた。




「だって そうだろ?



いくら1年の奴とかが騒いでたって、


俺は別に興味ねーし。



お前は いつものマイペース貫いてる方がお前らしいし、



その・・・



俺も それ見ると頑張れるっつーか・・・」




マサトはそこまで言うと、照れたようにそっぽを向いてしまった。



「俺は・・・、


お前を見てっから・・・」




・・・・・・・・・・・・





言葉が



すぐには出て来なかった。



マサトの押すチャリの車輪の 規則正しく回る音だけが、夕暮れの通学路に響く。




ばか・・・。




反則だよ。




そんなこと言われたら、



嬉しくてこれ以上怒れないじゃない。




顔が赤くなるのを必死に隠すのが精一杯。




「あれ?



ひょっとして照れてる?」




『⁉⁉⁉』



マサトに顔を覗き込まれ、あたしは我に返った。




さっきまでは自分も下を向いてたはずなのに、



なんて変わり身の早いヤツ⁉




ちょっとでもときめいてしまった自分が情けなくなってきた。




『・・・照れるわけないじゃん‼



ばか・・・・・・』




「何怒ってんだよ、お前。



おかしなヤツだなぁ」



悔しいから絶対教えてやんない。




『教えてあーげないっ』




「かわいくねーヤツ‼」



『マサトに言われたくないもーん』



あーあ、



結局こうなっちゃうんだよね。




でも・・・、

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