第55話

マサトはバスケ部の所属だ。



あたしはマサトがプレイする姿は見たことないけど、


本人いわく、


「スリーポイントシュートなら任せろ‼」


ってことらしい。



いきいきした口調で 楽しそうに部活のことを話すマサトからは、


バスケが大好きってことが ひしひしと伝わってくる。



つき合うまでは

マサトがバスケやってるなんて知らなかったけど、



そうやって バスケに打ち込むマサトが好き。
















「何・・・⁉


この女子の山は・・・❗」




体育館の入口には 女子ばかりの人垣ができていた。



制服やジャージ姿から、色とりどりの部活のユニフォームまで


その服装はバラエティーに富んでいる。




「武内先輩、カッコイイよね」



「あたしは山下先輩の方が好みだな」




あぁ、バスケ部はカッコイイ先輩も沢山いるから 見物人も多いのかな。




勝手に納得し、

中央で行われているらしい練習に耳を澄ませる。




「へぇ、北川って結構上手いんだね」



直ちゃんが感心したように言った。




『・・・やっぱり上手いんだ・・・?』



あたしは人事のように答える。




だってあたし、



マサトがどこにいるのかもわかんないんだもん。




「あ、そっか。ごめんごめん。



ほらそこの1年、

ちょっとどいて」



1年⁉



慌てて道を開けた子たちは、皆あたしより大人っぽくて背も高い。



驚くあたしの様子には構わず、

直ちゃんは更に強引に手を引っ張る。



あっという間に見通しのよい壁際に導かれた。




「北川❗」


「おう❗」



コートの中の様子はよくわからないけど、


マサトにボールが渡ったらしいことは 何となくわかった。

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