第52話

この間、木原さんに "冴えない子"扱いされてから、ずっと考えていたことだった。



「不釣り合い?」



『だって…、


あたし、木原さんみたいに美人でもないし、背なんか小学生並みだし、



それに障害者だし…、



きっと あたしといることで、マサトにはいっぱい迷惑かかってる…』



「美奏っち!」


直ちゃんがイラついたように バンッと机を叩いた。



「何 卑屈になってんのよ!


北川がそうやって言ったの⁉」



『…言ってない…』



マサトはいつも変わらない。




でも、普通はたとえそう思ったとしても、


本人を前にしたら、ぶっちゃけなかなか言えるわけないと思う。



「いい⁉ あの単細胞男がウソなんかつけるワケないんだから!



あいつは美奏っちのことからかうの 楽しんでるし、


美奏っちといる時の北川、すごくいい顔してるよ!」



直ちゃん…。


何だかビミョーにフォローになってないような…。



「でも、ひとついい教訓になったわ。



そうだよね!



確かにあいつ、そこそこイケメンだから、ライバルがわんさかいるはずだし。



美奏っち、あんたこれからもしかすると、そういうライバル宣言とか、もっとされるかもよ?」



『ええ⁉』



どうしよう。



木原さん一人でも大パニックなのに…。





もちろん、今までだって あたしなんかがマサトと一緒にいていいのかって 思わないわけじゃなかった。




サバサバした飾らない性格のマサトは

それだけでも人として充分魅力があるし、



直ちゃんの言う通り、結構カッコイイし、



それプラス、

もともとの茶髪も手伝って 目立つビジュアル。




運動も得意らしいから、それでモテないわけがない。



現に 指をさされて聞こえよがしに悪口を言われることもある。

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