第36話

それなのに いきなり人の弱いとこに根掘り葉掘りつっこんでさ。



人としての神経、ちょっと疑うよ」



ひえぇぇ💦 さゆ~💦



そこまで言わなくても💦💦💦



ホントに、

相変わらず おとなしいんだか大胆なんだか よくわかんないコだわ、まったく。



でも、さゆがこんなに激しい物言いをするの、初めて見る気がする。



『ち、ちょっと、


新学期早々 こんなところでケンカしないでよ。



あたし、何も気にしてないから。



仲良くした方が楽しいって』



あたしは慌ててさゆと江崎君の間に割って入った。



「・・・ごめん・・・」



江崎君がうつむきながら謝った。



『ホント、気にしないで。


さゆも、そう言ってくれる気持ちだけで充分だよ。


ありがとね』




「美奏ちゃんがよければいいけど・・・」



さゆはまだ納得できないような調子で黙った。



やれやれ。


みんなもっと穏便に話をすればいいのになぁ・・・。












「ねぇねぇ、ちょっと」



彼女があたしに声をかけてきたのは、


2時間目の始まりを告げるチャイムが鳴り、さゆ達とのおしゃべりを中断した時だった。



『はい・・・?』



木原さん・・・。



さっき 鼻で笑われたせいもあって、つい身構えてしまう。



「あなた、えっ・・・と、


川島さん だっけ?」



『は、はい。


そうですけど・・・』



「ちょっと、よしてよ その敬語。


タメなんだからさぁ」



あれ?


これじゃ さゆのこと笑えないや。



「まぁいいわ。


ひとつ聞きたいんだけどさぁ」



木原さんは こちらのペースはお構いなしといった感じで言った。



押しが強そうな人だなぁ。


どちらかと言えば、苦手なタイプだ。




「ねぇ、あなたって マサトと付き合ってるの?」



『え・・・?』



マサトって・・・、



あのマサトだよね・・・?



「とぼけないでよ。


おととい、一緒に帰ってくとこ 見たわ」



間違いない。



やっぱり、マサトとのことを言われてるんだ。



『木原さん、マサトを知ってるの?』



マサトと同じクラスのコたちだって、北川って苗字で呼んでるのに・・・。



カノジョの特権をいとも簡単に持っていかれたような気がして、胸がちくりと痛んだ。




「幼なじみよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る