第25話

『その・・・


何か 怒ってるような感じがしたから・・・』



あたしは少し小さくなりながら聞いた。



「怒ってねぇよ。


てか お前のそのポワーンとした顔見てっと、何か怒る気力も失せるし」



『ちょっ・・・!


ポワーンとした顔ってどんなんよ‼』



「ほら、さっさと来いよ、置いてくぞ」



あたしの抗議をさらりとかわし、


さっさと先を歩き始めた。



『あ、待って!』


あたしはあわてて後を追った。








こうやって、


笑ったり怒ったりふざけあったりしながら うちの前までマサトが送ってくれるのが、いつものお決まりのコース。




いつもの道と全く変わらなかった。



ただ、何となく 視線を感じるような気がしなくもなかったけど・・・。




でも、すぐに忘れちゃってた。




あたしの隣でマサトが笑ってること、



堂々と並んで歩けることが すごく嬉しく感じるひと時。





あたしはまだ知らなかった。




この時、



あたし達をじっと見つめる目が、確かにあったこと。




そして、その目があたしを捕らえた瞬間



新たな闘いが幕を開けたことに・・・。

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