第19話
音がしないよう、
そっと
そうっと音楽室の扉を開け、足音をしのばせて様子をうかがった。
窓際のピアノの前には細長い人影。
男の子…?
廊下で聞くのとは比べものにならない
迫力のあるベートーベン。
嵐を思わせるその曲と 迫り来るような音からは
圧倒されるような気迫すら感じる。
すごい…。
どんどん引き込まれてく。
もう 誰が弾いてるかなんてことより、
どうしたらこんな音が出せるんだろうってことの方が気になってた。
押し寄せる音の波が消え、
鍵盤からその指が離されても、
あたしはその場を動けずにいた。
「あれ…? 君…」
『え…?』
ふと我に返ると、その音の主がゆっくりこちらへ近づいて来た。
『あ…、あの…、
ごめんなさい!
勝手に入って来ちゃって…』
さっきのインパクトが強すぎたのと緊張とで、
うまく思考が働かない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます