第14話

「だから、


ちゃんと感謝と、これからもあてにしてるぜの念をこめてんだろ?



そんくらい気付けよ、タコ!」



『あー‼ あー‼


そういうこと言っちゃっていいわけー⁉』




万事が全てこんな調子。



これじゃ恋人同士っていうより、漫才コンビだよ。




つきあって5ヶ月。



マサトとの毎日は楽しい。



でも、



たまにはちょっとくらい ロマンチックなことも言ってほしい。




これって、贅沢なのかなぁ…?











マサトたちと別れ、教室の戸を開けると、


もうかなりの数の生徒が集まり、思い思いに過ごしていた。



「美奏、おはよう」



1年の時 一緒のクラスだった弥生が、


すれ違いながらポンと肩を叩いて行った。



挨拶を返し、とりあえず空いている席を確保する。




座った席は一番後ろ。



まじめに席替えする時は、こんな後ろの席なんて絶対無理だもんね。



一息ついて、周りの音に耳を澄ませてみる。



何人か知ってる声を聞くことができて、何となくホッとした。




真里や清美がいないせいか、


去年のような やり場のない不安は感じない。




「見て。


目腐りと外人がつるんでる」




突然 耳に飛び込んできた声。



飯田リカだ。



彼女は真里の取り巻きの一人。



一人じゃ何もできないクセに、


何人かで集まると主犯格になる小悪党。



今日も取り巻きの何人かを従えて、窓際を占領してる。




「美奏ちゃん、絵里ちゃん、出よう」



さゆが不快な様子で立ち上がった。



「いいっていいって、あんなもん。


勝手に言わしとけば」



絵里は逆に、大して気にもしていない様子だ。



「合唱部のメンツが混じってるのがちょっとイヤだけどね」



確かに、部員同士で揉め事があるのはよくない。



運動部のコたち、


特にチーム競技のトコは、みんな強い結束力でまとまっているけど、


その裏には ドロドロした人間関係が見え隠れするんだろうか。



それとも、そんなのはうちの部だけなんだろうか。




「まもなく始業式を行います。


生徒のみなさんは ーーー」



校内放送に促され、あたしたちは教室を出た。















「ねぇねぇ」



式の最中。



弥生が後ろから小声で話しかけてきた。

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