第11話

「同じクラスってことは、


あなたも3組…なんですか…?」




『さゆ…。



同い年なんだし、そんなにかしこまらなくても…』





このところ、だいぶくだけてきたけど、



すぐ敬語になるのが さゆのクセ。




いざって時には、


かなり大胆なことも率先してやるのに、



普段のさゆは 落ち着いていておとなしい感じ。




「美奏っち、知ってるの?


紹介してよ」



『うん、そだね』




直ちゃんの言葉に、いっちゃんが反応する。




「あ、あたし知ってる。



桜井さんでしょ?



桜井絵里(さくらい えり)さん」




「当たり~。



はじめまして。桜井絵里で~す。




美奏と同じ部活で~す🎵」





3人に向かって、絵里はノリノリで挨拶した。





「は、はじめまして。田口直美です」



「武田さゆみです…」



「上原いずみだよ」





直ちゃんたちもそれぞれに自己紹介した。





イギリス生まれのお母さんを持つ絵里は、あたしの初めてできた部活友達だ。




よそのクラスに、

ハーフの子がいるって、聞いたことはあったけど、



あたしには縁のない人だと思ってた。




なんか ハデそうな気がしたから…。



実際の絵里は 裏表がなくて素直で



いたって日本人的な考え方の女の子だった。




リアクションだけは人より大きかったけどね。





さゆだけじゃなく、絵里も一緒なんて、




楽しいクラスになりそうだ。




直ちゃんやいっちゃんと離れてしまったのだけはさみしいけど…。





あたしは改めて3組と書かれた紙を見上げた。





1行1行ゆっくりと


他の顔ぶれを確かめる。





合唱部のメンバーの名前がいくつかある。




去年 さんざんあたしをいじめた真里や清美の名前はない。





いじめが解決した今でも、



2人やその取り巻きたちが恐くないと言えば嘘になる。





げ、



そう思ったそばから



その取り巻き軍団の一人、飯田リカの名前を発見してしまった。





「よぅ」




『‼⁉‼』




不意に後ろから肩をつかまれ、



思いっきり飛びのいてしまった。




「あ、北川。おはよう」




あたしの代わりに直ちゃんが声をかけた。




「おっす、田口」



声の主も何事もなかったように返事を返す。

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