第10話

「そういうことは、


あたしじゃなくて 他のみんなに言いなさいよ‼」




案の定、のぞみは怒ったように返してきた。




「のぞみ。



美奏っちだって、好きで病気なんじゃないんだから…」




あたしが発作でのびてたのを知ってる直ちゃんが、


すかさず助け船を出してくれた。




『でも、のぞみの言うこと 半分は当たってるから…』





ここまでの会話を聞いただけでもわかると思うけど、



のぞみは本っっ当に言葉がキツい。




そういうとこが苦手で、



あたしは最初、のぞみを敬遠してた。





のぞみの方も、あたしのトロいところや



友達に頼りがちなところがイヤで、


あたしに余計キツく当たってた。





でも、



ひとつの行事を境に、



いつしか あたし達は仲間になってた。





お互い 直してほしいところは変わらない。





でも、


直ちゃんやさゆ達とはまた違う形の絆が



確かにある…。








あれで結構、心配してくれてることが



ちゃんと伝わってくる。












「美奏~❗ のぞみ~❗」





人の山の向こうからあたし達を呼ぶ、よく通る声。





「げ‼



また暑苦しいのが来た‼」





『ぷっ。



のそみでもコワいものってあるんだ』




「あいつ、



なんで朝からあんなにテンション高いのよ…」





普段は動じないのぞみが


ちょっと苦笑してるのが妙におかしい。





「誰…?」



「さぁ…?」




直ちゃん達は一斉に首をかしげた。




「美奏~~♥



おっはよ~~~‼」





ばふっ‼




彼女はあたしを思いっきり抱きしめた。




直ちゃんたちは、呆気にとられてる。




あたしはもう慣れたから平気だけど。





彫りの深い顔立ち。




身長のわりにグラマーな体型。




日本人離れした色素の薄い茶髪に 白い肌。





『絵里、おはよう』





ハグされたまま、あたしは挨拶を返した。




『ていうか 絵里…、



苦しい…』




「あ、ごめ~ん。



同じクラスになれたから 超嬉しくてぇ~♥」




う~ん。



いつも思うけど、


その外見から 超とか言われると、


すごいギャップが…。

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