第9話

「あ❗ あたし美奏ちゃんと一緒だぁ」




さゆが嬉しそうに声をあげた。




「あたしは1組」




淡々と言ったのはいっちゃん。





「ま~‼



美奏っちってば、

また のぞみと一緒‼




大変だねぇ…」





「誰が大変ですってぇ~?」




その声は…。





『うぎゃあっ』



「きゃっ‼」




再び重みがかかり、



あたしとさゆは耐えられずにその場に倒れ込んだ。





「あらぁ、



のぞみさん、おはよう」




ひきつりながら言う直ちゃんの姿が



何となく滑稽でおかしい。




「あらおはよう…、



じゃないわよ全く‼」




「わー‼



ごめんなさい ごめんなさいぃぃ‼



あたしが悪かった‼



暴力反対‼」





直ちゃんを後ろから羽交い締めにするのぞみ。




文字にしてしまうときつい言葉だけど、



2人ともなんだかんだ言って楽しそうだ。





「何がおかしいのよ、川島‼」




『いや…、



だから そのボケとツッコミ具合が…。あはは』




「勝手に漫才コンビにしないでよ‼


失礼ね‼」





のぞみも同じく1年の時のクラスメイト。



あたしにとっては、


クラス唯一の部活仲間でもある。




「ところで川島、



その様子なら、今日の練習は出られるのよね?」




『うん。



体調バッチリ』



「バッチリ。



じゃないわよ‼


3日間も練習休んどいて‼




だいたいねぇ、


自己管理がなってないのよ、自己管理が‼」





うぅ。



耳が痛い。




あたしは今週、



持病の発作が出て 部活を休んでいたんだ。





「そっか。



新歓出るんだよね。



ピアニストに抜けられると困るわけだ」




「そういうこと」



『迷惑かけちゃってごめんね』




あたしは のぞみの顔を恐る恐る見た。

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