第22話

あたしも迷わず入部希望を出した。



でも…





顧問の音楽の専科の先生は、


あれこれ理由をつけて、あたしの入部を拒否し続けた。




めずらしくあたしが引き下がらないでいると、


あたしにだけ入部テストを課した。





先生が黒板の前に立ち、あたしは後ろの黒板の前に立って、


先生の指揮の拍子を当てるというもの。






あたしは…




先生が立っているその姿さえ、見ることができなかった。




当然結果は不合格。



譜面を覚えるのなんか、ピアノで鍛えてる。



譜面台に立てた譜面なんて、あたしにとってはただの紙切れ。



あたしのピアノは全て暗譜だ。



指揮だって、


見えなくても 音合わせを重ねることで、十分カバーすることができるんだそうだ。



現に、全盲(全く目が見えないこと)のソリストだって、


立派にオーケストラと共演しているんだから…。



って、これは楽器メーカーに勤めるお父さんの受け売りだけど。



でも、当時のあたしには、先生を説得できるだけの力はなかった。



大抵のことは耐えてきたはずだけど、



この時ばかりは 悔しくて情けなくて、


自分の部屋にこもって わんわん泣いた。



市内の児童合唱団に入ったのは、

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