第21話

「へぇー」



直ちゃんが意外そうにあたしを見た。



『そんな、 全然すごくないよ。


もっと上手い人はいっぱいいたし、ソロパートだってもらったことないもん』




あたしはあわてて否定した。



「まあまあ、そんなにケンソンしなさんなって。



美奏っち、 声きれいだから、 案外当たってるのかもね。



でも、そのわりに音楽の時間に目立たないね」



『だってあたし、 たて笛苦手だもん』



あたしはそう言って、肩をすくめてみせた。



「合唱って、ほとんどやらなかったもんね」



直ちゃんが なるほどという感じで言った。



確かに、笛が苦手で苦労しているのもある。



でも、あたしは笛以上に 音楽の先生が苦手だった。



あの出来事以来…。











あたしの通っていた吾妻小学校には、


強豪と言われていた吹奏楽部があった。




部活に参加できるのは5年生からだったけど、


ここだけは 卒業式での演奏のことを考慮して、


4年生から参加することができた。



お揃いのユニフォームで演奏し、コンクールに臨む姿はカッコよかったし、


触ったことのない管楽器にも憧れた。



入部制限や資格は特になく、初心者もかなり入部していたから

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