第20話

あたしは全く覚えがない。



小学校で違うクラスだった人かな?




『はい…。そうですけど…?』



「やっぱり⁉


あたし 上原いずみ❗


合唱団でメゾにいたんだけど」



そうか。 どうりでわかんないはずだ。



「パート違ったからわかんないか。


ごめんね。



でも、ずっと話してみたいと思ってたの」



『…⁉』




そんなこと、生まれて初めて言われたから、


どうリアクションしていいのかわかんない。



「美奏っちー❗


やったね❗ また一緒だよ~ん❤



4組だって❗」



直ちゃんが興奮気味に戻ってきた。



ふと、上原さんの方に視線を移す。




「はじめまして 南小から来た 上原いずみです。



合唱団で川島さんと一緒だったの」



「あ、 あたしは田口直美。


美奏っちと同じ吾妻小出身だよ。よろしくね」



直ちゃんと上原さんが握手を交わした。



人見知りしないのが 直ちゃんのいいところだ。



…でも 上原さん、あたしと話してみたいなんて、


一体どうしてだろう…?



「あたしね、川島さんの歌、ずっといいなって思ってたんだ。



すごく堂々としてて深みのある歌い方するし、


声量もあるでしょう。



ちっちゃいのにすごくカッコよくて、


明るそうな感じがしたの。



だから、一度話してみたかったんだ」

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