第19話

あたしも嬉しくなって、彼女の手を握った。



直ちゃん ──


小学校からの、 数少ない仲良しだ。



一緒のクラスだったのは、 最後の2年間だけだったけど、


もっと、ずっと前から一緒にいるような気がする。




「美奏ちゃん、 代わるわよ」



『じゃ、おばさん、お願いします』



直ちゃんのお母さんがあたしのお母さんに腕を差し出し、

保護者入口の方に向かうのを見送ると、


あたしたちはクラス分けを見に行くことにした。






クラス分けは、校舎の壁に貼り出されているらしく、


人だかりができている一角をすぐに見つけることができた。




「美奏っち、 ここで待ってて。


あたし、 見てきてあげる」




あたしは、直ちゃんの言葉に甘えて、そばの植え込みのところで待つことにした。




本当は黒板を見る要領でやれば 自分でも探すことはできるし、一緒に見たかった。



でも、混んでるから 足手まといになっちゃうしね…。





「川島さん❗ 川島さんだよね⁉」



突然名前を呼ばれて、ビクッとする。



近づいてきたのは、ショートカットで すらりとした長身の女の子。



胸元のリボンが赤ってことは、彼女も一年生か。



でもその外見も、


ミスマッチな高めの声も

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