第18話

もともと、あたしと同じ


弱視

(回復の見込みのない疾病により、視力が極端に低い状態。


左右の視力の和が0.02から0.3までというのが一応の目安になっている)

だったお母さん。




澄歌が生まれる頃から 急激に視力が落ち始め、


今はもう 明るいか暗いかの判断くらいしかつかない。



でも、家事全般 だいたいのことはできるし、


そんじょそこらのお母さんよりうまいと思う。




ただ唯一の弱点は、外の一人歩きが大の苦手であること



だから、門を一歩出たら、


必ず誰かがお母さんの目になる。



あたしのこの頼りなさげな右腕も、


お母さんにとっては大事な命綱だ。




でも この命綱、


心もつないでしまうらしくて、


あたしがどんな気分で歩いているのか、なんてことも


ダイレクトに伝わってしまっているらしい。




(お母さん、



何だかあたし、


すごく頑張っていけそうな気がしているよ❗)



あたしは、お母さんに心の中で呼びかけた。



うまく伝わったのか、


お母さんの足どりも、あたし以上にリズミカルに軽くなっているような気がした。











「美奏っちー❗ おはよー」



校門に着くと、


待ち構えていたかのように あたしたちにかけよってくる親子がいた。


『直ちゃん❗』

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