第14話
あたしは保育園に引き続き、小学校の6年間も
同級生からの陰湿ないじめを受け続けていた。
時には、名も知らない下級生からも、
「目腐り」と指を差されたり、
石や砂を投げつけられたりもしていた。
お母さんは、いつしか事あるごとに、こう言うようになっていた。
゙勉強も運動も、人並みにはできた方がいい。
これだけは人に負けないって言える特技も、 身につけておいた方がいい
(ピアノを習い始めたのもそこからきてる)。
趣味の引き出しも多い方がいい。
でも、それを大勢の前で出してはいけない。
目立ったり ほめられたりしたら、
やっかむ人が必ず出てくるから。
おとなしくしていれば、いじめられる原因が ひとつ減る゙
それは、あたしより更に重い視覚障害を持っているお母さんの処世術でもあった。
あたしも、ずっとバカにされたり、
物を盗られたり、
陰口を叩かれたり、
あらゆる嫌がらせを受けるうちに、
すっかり小さくなるクセがついてしまった。
後になって考えると、
そういう態度も、余計にいじめたい本能をくすぐっていたのかなって思うことがある。
そのかわり、敵のいない場所 ──、
つまり家の中では、
一気にタガが外れ、 羽をのばしていた。
家の中だったら、誰も文句を言ったり、いじめる人はいない。
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