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「みず、うまっ。」
体をいっぱい使った昂はコンビニで買った冷えている500mlの水を半分飲み干し、私に差し出してきた。
瞳「ありがとう。」
私は甘くて重だるくなっていた口を洗うために水を飲み、さっぱりさせる。
昂「寒くなってきたね。やっぱ行く?」
と、昂は雑な誘い方をして私の笑いを誘う。
瞳「ここら辺にないって知ってるじゃん。」
繁華街でも飲屋街でもない住宅街でホテルへ誘う昂に現実を突き付けると、昂は悔しい時にする空っぽのブーイングを大きな口を開けて叫び、フェンスに座って休んでいた私のピンヒールをコツンコツンと自分の履き慣れた革靴で叩いてくる。
昂「…最近してなかったし。家だとなんか盛り上がらないし、気分転換にどう?」
と、昂は自信なさげに下を向きながらしっかりとしたお誘いをしてきた。
けど、私はそんな気がなかったし、そういう流れになるとは思ってなかったので昨日剃ったか忘れた脇毛が気になる。
そんな上の空の私を見て昂は鼻で小さくため息をついて隣に座った。
昂「帰るなら電車乗ろっか。もう1駅歩いたら全身筋肉痛になる。」
昂は自分のお腹を撫でて寂しそうに笑顔を作った。
瞳「そう…」
する。
と言おうとしたけど、これが最後のデートだったんだと思い出し、私は一旦言葉を飲み込む。
そして私は自分の気分が揺らぎやすくなるような提案をしてみる。
瞳「呑み行く?」
私は自分を酔わせてあの日のように、昂にホテルへ連れていってもらうことにした。
昂「行くー。電車乗ろ。」
ご機嫌な顔になった昂と手を繋ぎ、私はぎゅっと気を引き締めた。
環流 虹向/ピンヒールでおどらせて
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