Kitten
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今日の昂は何故かたくさん私を歩かせるけど駅には行かず、桜並木に添って家に向かう道を歩き続ける。
それはいつもとは違う昂で私は胸も足も痛くなってきて歩く速度が落ちてしまうと、日もだんだんと落ちてきて淡いピンク色に染まり始めた。
昂「今日はいっぱい食べたから運動しなきゃね。」
と、昂は嘘っぽいことを言って私との時間をまだ稼ぐ様に、路地の向こうに見えた踏切を顔で隠して私に笑顔を見せてきた。
けど、私は痛みが勝ってうまく笑えないでいると昂は足を止めて人差し指で自分の肩を叩いた。
昂「乗る?」
瞳「…乗る?」
昂「おんぶ。」
瞳「嫌だよ。恥ずかしい…。」
昂「酔い潰れた時にしたじゃん。おいで。」
昂は私の両手を取って私の体を無理矢理背中に乗せようとするので私は観念して昂の背中に乗り、ピンヒールを奪われる。
昂「寝ててもいいよ。」
瞳「寝ないけど、寝てるフリはしとく。」
私は他人からの視線を閉ざす様に目を瞑り、昂の温もりだけを感じながらあの日の様に休憩することにした。
昂「ホテルあったら入るんだけどなぁ。」
瞳「…こんなとこにないよ。」
友達に早めの就職祝いをしてもらった日、蕾と別れて1年も経つのに彼氏がいないなんておかしいと言われ、そのまま無理矢理合コンをセッティングされた。
その日にまた出会った昂はその友達が連絡した最初の男友達だった。
他の男友達も引き連れてきた来た昂はたくさんお酒を呑んでいたけど、みんなに鍛えられたと言って全く酔ったそぶりを見せてなかった。
それを見た私はカルピスサワー1つで酔ってしまう自分はまだ子どもなんだなと自覚し、今日から肝臓を鍛えてみようと思いつき、何を思ったか梅酒のロックを2口飲んだところで記憶を失って目を覚ましたら知らないベッドの上で寝ていた。
しかも、自分が着ていたデニムのジャケットや履き慣れ始めた7センチのピンヒールが脱がされていてすごい焦ったのを今でも覚えてる。
昂「じゃあ、あるとこ行こっか。」
と、昂は冗談を言って私の焦る顔をまた見て笑う。
その昂が好きと実感したのは今よりも熱が漂う夏だった。
環流 虹向/ピンヒールでおどらせて
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