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「笑い泣きしたー。」


と、ずっと笑いを堪えて腹筋が壊れたと語る昂は同じく腹筋が壊れた私と手を繋いで映画館を出た。


私は今日のデートがもう終わっちゃうと思い、いつ本題を切り出そうか言葉を喉奥に詰まらせていると、昂は家がある最寄り駅から2つ手前の駅で降りていつもはあまり歩かせない私を10分近く歩かせて今の季節を視界いっぱいに感じられる桜並木がある場所に連れてきてくれた。


昂「いちご大福と甘酒、どっちも好きだよね?」


昂はキャラメルポップコーンを8割自分の胃に入れたのにまだ甘いものを食べたいらしく、私に甘いものを押し付けてくる。


けど、最後だからと私は頷いて昂と甘酒を半分こ、いちご大福は2つ、お花見の季節だけある出店で買って桜の木の下にあったベンチに座る。


昂「日が長くなってきたねー。」


と、ポカポカ陽気をとても気持ちよさそうに浴びる昂はお昼が過ぎてもまだ肌寒くならない気候に顔を綻ばせる。


瞳「昂と初めて会った日もこんな感じだった気がする。」


私は季節外れの雪を溶かす様に青空が広がっていた大学4年の春を思い出し、昂との別れが惜しく感じてしまった。


昂「俺がナイススケーティングした日ね。」


昂は腕を軽く広げ、バランスをとるようにしてあの日を思い出す。


瞳「あんなダッシュしてたのに転ばない人いないよ。」


私が1人で教室移動していた時、日陰に猛ダッシュしたのにも関わらず体感つよつよで20mを滑り抜いた昂と目が合って言葉を交わさずハイタッチしたのを思い出し、あの日の陽気に温められていた今と同じグレージュの頭を摩りながら笑うと昂は私を見てまた口角をあげた。


昂「1回もスケートしたことないや。今度しに行こうよ。」


昂は蕾と正反対のアウトドアな人。


だから学校外や会社外でも友達が多くて私がいない休日も誰かと一緒に過ごして1日を楽しめる人。


だから私と行かなくても他の人と行ける。


瞳「私とだと転んじゃうから上手い人と行きなよ。」


私は慣れないことはこれ以上したくなくて最後かもしれない昂の誘いを断り、最後の一口だった甘酒を断りもなく飲み干し、米麹で作られたのにも関わらずにほろ酔い気分になる。


これで今日のデートは終わり。


だからこんな自分勝手な行動を昂が嫌ってくれればいい。


そう思ったけど、私とは全く考えが違う昂は私が思ってないことをした。



環流 虹向/ピンヒールでおどらせて

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