Chunky
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塩バターポップコーン。
キャラメルポップコーン。
ダブルサイズのメロンソーダ。
これは昂と初めて映画デートした時と同じラインナップ。
始めと終わりが同じなんて最初からこうなることが決まっていたようで普段よりも昂といる時間が不安定でぐらつきを感じていると、それを悟ったかのように昂は片手にトレイ、片手に私のコートを持ってるのにも関わらずに私の手を取って不安定な足元を支えてくれる。
昂「Fの15と16…。」
そう呟きながら足元にある案内通りに進む昂はみんなと同じ人。
けど、蕾はわざわざ背もたれの後ろについている席番を確認していた。
その細める目が立ったまま寝ているように見えていつも笑っちゃってたな。
ふと、また思い出が蘇り、つい口角が上がってしまっていると、席について一安心した昂は私の顔を見て同じく口角を上げる。
昂「パンフレットに挟んどこ。」
そう言っていつも2人で映画を観に行った記念にとっておく映画の半券をパンフレットの最後のページに挟んだ昂はじっとポップコーンを見て1番キャラメルが絡んでいる1粒をつまみ、私の口の前に差し出した。
昂「美味しいやつあげる。」
瞳「…ありがと。」
私は気分じゃないけど、昂の厚意を無下にできなくてそのまま口に入れてパリポリする1粒のポップコーンを味わう。
昂「うん。俺、たったかトイレ行ってくる。」
と、昂はいつものように上映5分前に席を立って駆け足でトイレに向かった。
この1人の時間、頭の中に思い浮かんでしまうのはやっぱりあの日のことなんだよな。
環流 虹向/ピンヒールでおどらせて
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