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「おまたせ。」


昂は席をとっておく体でヒールを履いている私を先に座らせて、ギリギリモーニングで頼めたサンドイッチとドリンクを持って私の隣に座った。


昂「半分こー。瞳はトマトもチーズも好きだもんね。」


と、昂はマルゲリータのホットサンドとクワトロチーズのホットサンドを元から半分に切られているものを1つずつ交換した。


昂「いただきまーす。」


瞳「ありがとう。いただきます。」


マイペースな昂は私の今日の気分はチーズだけと言うのは聞かず、交換したことが満足なのか自分が好きなペパロニのホットサンドを頼んでないのに口角を上げて朝ご飯を楽しんでいる。


こういう時、蕾なら真っ先に自分の好きなものを頼んで私にお金を手渡してトイレに行っていたし、注文した商品も私に持たせて自分は先に席に座って週刊漫画雑誌をすぐに読み込んでいた。


それに文句はなかったし、それが蕾だから受け入れていたけど、他のカップルを見ると割り勘でも、トイレが近くても、漫画が読みたくても、欲求に忠実にならずに相手のことを思って行動するそう。


それってなんだか気を使っているような感じがして私は気後れしてしまうけど、昂と付き合うようになってからやっと慣れた。


けど、たまには私を軸にしないで自分を軸にしてくれてもいいかなと思ってしまう。


昂「今日はポップコーンにする?それともチュロス?」


また昂は私に2択を選択させようとしてくる。


瞳「んー…、昂は甘いの食べたい気分?」


私はたまに反抗をして質問返しをすることがあるけど、そのたび昂は浮かない顔をするからここ最近はしてなかった。


けど、今日は昂がしたいようにしてほしい。


昂「あー…まいのかな…。」


ため息と一緒に回答してさっきよりも小さくなった口でまた食べ始めた昂はいつもは気にしない口元についたパン粉を拭いながらホットのカフェラテを人肌まで冷めたのを確認して啜る。


しかも、相変わらず角砂糖は3つ入れてミルクでまろやかになったものをさらにまろやかにする。


元々コーヒーが苦手なら頼まずに好きなものを選べばいいのに、私といると同じカフェラテをいつも頼む。


なんでここまで一緒にするんだろうって思うけど、それが昂だから私は受け入れてきた。


けど、昂は私を受け入れすぎててちょっと息苦しい。


昂「お腹、落ち着いたら出よっか。」


と、いつもベストタイミングで時間を調節出来る昂は私が就職祝いであげた腕時計の針を見せて私をまた映画に誘う。


瞳「うん。ハーフのポップコーンにしよ。」


私の今日の気分は甘いものを受け入れなさそうだからこれが今出来る丁度いい行動。


それに昂は全肯定。


だから、今もちょっとだけ苦手意識があるのかも。



環流 虹向/ピンヒールでおどらせて

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