獲得

ぴたぴた。


ひたひた。


ぴちぴち。


そんな音が私の腰が動くたびに聞こえて白波さんのベッドよりも汚したことを確信する。


ケイ「水分補給。」


そう言ってケイさんはいつものように口渡しで生ぬるいいちごみるくを入れてまだまだ汚せるように下準備をするけれど、私は脳が溶けてまぶたを開けるのがだんだんと面倒くさくなってくる。


ケイ「眠い?」


優愛「…ぇむいよ。」


ケイ「何言ってんの。」


と、ケイさんは笑って私の舌ったらずの口を開けるように人差し指を入れて舌で遊ぶ。


その少ししょっぱい指先で少し声を漏らすとケイさんはまた私を求めるように体いっぱいにキスをし、私の反応を見て楽しむ。


私は意識を保つことに精一杯で声帯も筋肉も緩んで体を正直なままにさせると、突然インターフォンが鳴った。


それにケイさんは少し不機嫌そうにして居留守を使おうとしたけれど、私の声で人がいるとバレてまたインターフォンが鳴った。


ケイ「…ちょっと待ってて。」


そう言って、ケイさんはパンツ1枚だった体にシャツをかぶり、駆け足で出て行くと少し声を荒げた男性が静かなケイさんを怒っているように聞こえた。


それが数秒だけ続き、ケイさんが戻ってくるとさっきの続きをすることなくタバコを吸い始めた。


優愛「……怒られた?」


少し拗ねた顔をしているケイさんを見て私が恐る恐る聞くと、ケイさんは私の背中を撫であげてまた声を出させた。


ケイ「ジジィが優愛とやりたいって。」


優愛「え?」


ケイ「嘘。ジジィが若者の楽しみを潰しに来ただけ。」


それって怒られたってことじゃなくて?


私は一度、カマかけをしてきたケイさんの顔を見て何を思っているか探ろうとするけど、拗ねた顔から何も思ってなさそうな真顔に変わるだけでケイさんが何を考えているか分からない。


ケイ「…我慢して。」


と、ケイさんはタバコを持っている指で静かにとジェスチャーをし、久しぶりにTV以外の明かりをつけると私は背中から冷汗が流れる。


優愛「23時?」


ケイ「うん。泊まるでしょ?」


そんな気ないし、今日は“区切り”つけるために来たのに明日を一緒に迎えるの?


しかも、彼氏じゃないし、浮気だし。


ケイ「まだ夏休みじゃない?」


と、ケイさんは7月中旬に入った今日の日付を見て私の予定を聞いてきた。


優愛「…入ってる。」


テスト休み中で明後日には終業式。


だから実質もう夏休み。


しかも、学校推薦だから家庭教師も週2になった。


だから明日は何も予定がない。


ケイ「じゃあ朝まで。」


ケイさんも長期休みらしいし、前に見たスーツにビニールが被ってるし、黒い革靴は玄関になかった。


だからずっと忙しそうにしてた就活も終わったのかもしれない。


だから私にメッセージを送ってきてくれていたのかもしれない。


だから今日はずっと一緒にいようとしてくれるのかもしれない。


全部私の想像でしかないけど、それが好きってことだと思っちゃうのは頭が足りないから?


そんな自問自答をしたって意味ないし、ケイさんとは意味のない話しかしない。


けど、そのふわふわとした空間が好きで、現実から夢の世界に足を踏み入れられたような感覚で、やっぱりこの家のインターフォンを押すことがワクワクを感じてしまう。


ケイ「ねむ。」


と、ケイさんは私で遊び終えると自分も快楽を味わおうために私と体を重ねた。


優愛「ねよー。」


私は最初よりも弱い音をさせるケイさんの背中を撫でてもう寝てもらおうとすると、ケイさんはおもむろに起き上がり私の首に手を添えた。


ケイ「引っ越しする。」


優愛「…そっか。」


ケイ「また来てくれる?」


と、ケイさんは置いていた手に少し力入れて絞めてきた。


優愛「どこ…?」


ケイ「駅一緒。」


優愛「行くよ。」


私はこのまま殺されそうな雰囲気に飲まれてそう言うと、ケイさんは納得いってないみたいで手の力を強めて腰を強く打ち付けてきた。


それに私が声で反応してしまうとケイさんは音を潰すようにキスして自分の唾液を入れてきた。


ケイ「本当?」


優愛「行く…って。」


ケイ「嘘じゃない?」


優愛「…いく。」


ケイ「絶対?」


優愛「イっ…ぅ…。」


私は快感の限界に達してケイさんに別の意味を伝えるとケイさんは満足した様子で水浸しの用済みベッドを使い終え、お風呂上がりには2人して縦幅が足りない寝かせた座椅子で足をはみ出しながら夏の匂いが届く窓を開けて眠りについた。



環流 虹向/愛、焦がれ

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