拒否
ケイさんのせいで冬から頑張って鍛えたお腹にお肉が乗ってしまうと、そのお肉を花火大会終わりの白波さんがつまむ。
脂肪もむくみもつきやすい私の体を白波さんはちょうどいいと言うけれど、腰に置かれている手は少し力が強くて前のウエストよりも細くなるように締めてくる。
それがちょっと乱暴で私の興奮材料になりかけていると、白波さんは動きを止めて私に倒れてきた。
白波「…なんで今日は浴衣じゃないの?」
と、白波さんは私の耳元で悲しそうに呟いた。
けど、私は初めてをこれ以上勝手に取られるのは嫌だと思ってしまって、今日はあざといと言われてしまいそうな真っ白なレースワンピースで白波さんとの花火大会を楽しんだ。
優愛「浴衣は彼氏とのデートの時って決めてるの。」
白波「はぁ…、なんで俺はダメなのー…。」
と、白波さんは私の胸に顔を埋めて不貞腐れる。
優愛「彼氏じゃないから。」
私がただ状況を説明すると、白波さんは私のお腹をつねつねして痛くすぐったいくすぐりをしてくる。
その刺激が私の体の感度を高めてしまい、中を締め付けると白波さんは私の胸に埋めていた顔を上げて拗ねた表情を私に見せた。
白波「締めつけて、立たせて、ほっぺ赤くさせてんのに彼氏にはなれないの?」
白波さんは指先を腰から胸へ、胸から肩へとするすると登らせて私の顔を包むように持ってきた。
私は目の前に来てしまった顔に目を合わせられないでいると、白波さんは人差し指2つで私の頬を固定して無理矢理目を合わせてくる。
白波「そっぽ向かないで。俺だけ見ててよ。」
なら、出会った時から誠実に付き合ってくれればよかったのに。
なんであの時、先輩の聖さんを呼んだの?
あの日に2人だけの時間を最後まで過ごせてたら、こんな風な暇つぶししなかったのに。
私は何を思って私を好きになったのか分からない白波さんから目線を逸らすと、白波さんはキスで私の興味を惹こうとする。
けれど、 私はただ舌が撫でられるだけの行為にそんなに気持ちが上がらないでいると何かを感じ取った白波さんは唇を離した。
白波「嫌いなら最初から言ってよ…。」
私の耳元でそう呟いた白波さんは少し乱暴に腰を揺らし、自分の欲求だけを満たすとすぐに私の体から離れてティッシュで証拠隠滅する。
その行為はいつも通りのはずなのに、証拠隠滅と思ってしまうのはきっともう白波さんと会おうと思う気力が失くなってしまったからなのかもしれない。
そう思っていると白波さんは手に持っていた証拠をゴミ箱に捨てて、ベッド脇に座り一服するように温くなったビールで喉を潤した。
そんな白波さんの背中を見た私はひとりぼっちな感じがして、寂しさを埋めるために何も着ていない白波さんの背中にいちごの絵を描くけれど白波さんは何も言ってくれないし、こっちを見てくれない。
…もう、暇つぶしはしてくれないか。
私はもう構ってくれない白波さんのベッドから起き上がり、崩れたヘアメイクを軽く整えてから帰る準備をしようと真っ暗な窓ガラス越しで夜空と自分を見ながら髪の毛を結い直していると、ずっと背中を向けていた白波さんがこちらを向いた。
白波「少し…、伸びたね。」
と、私の髪の毛がうなじを隠してしまうくらい伸びたことを今気づいた白波さんは私が家で30分かけて作ったヘアセットを3分で終わらせてしまった。
白波「帰るの?」
優愛「そのつもりだったけど…。」
私は今日も自分の家に帰る気分じゃないけれど、白波さんはきっと私のことが邪魔だから今にでも外に出てほしいだろう。
そう思って私は少しチクチクしてなんだか重い腰を動かそうと後ろを振り向くと、それに合わせて白波さんの手が私の頬に添えられてキスする0.1秒前の距離感まで近づいた。
白波「けど、帰る気分じゃなくなった?」
と、私の気持ちを少し違った言葉で表す白波さんは後ろからまた手を伸ばし、私の体を弄り始める。
優愛「…帰るの、めんどくさくなったから泊まる。」
私はいつまで経っても気持ちを共有出来ない白波さんと最後の夜を過ごした。
環流 虹向/愛、焦がれ
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