承認
あの日から3、4回くらい1週間が過ぎてその内に白波さんとその先輩の聖さんに何度も会った。
けど、会うのはご飯屋さんや美容院じゃなくてどっちかのお家。
それで暇を持て余しているどっちかの体で私は毎回少量の血を流し、あんまり気持ちいいとは思えない有酸素運動をする。
やらなくてもいい運動を毎回しに来てしまうのは私にとっていい暇つぶしだから。
と、かっこつけたいけど本当は2人が言ってくれる『可愛い』や『好き』をもっとたくさん貰いたいから。
SNSでも毎回投稿するたびにその言葉を言ってくれる人たちはいたけれど、たかが“文字”。
私は2人から貰った生の“言葉”が本当は欲しかったんだと理解してから本当はしてはいけない犯罪行為を親にも他の大人にも内緒にして優越感に浸る。
そんな私を今日も目が潤むほどえずかせながら携帯でも遊ぶ聖さんの急所を興味本位で甘噛みするとありえない強さで頭を叩かれた。
聖「何やってんの?」
優愛「…つかれた。」
聖「じゃあこっち舐めて。」
そう言って聖さんはごぼう巻きの下にある餅巾着を指して私の頭を掴んで口を近づける。
抵抗さえ忘れた私はこれ以上痛くて嫌なことにならないように自分の毛先か聖さんのムダ毛か分からない毛が混じってる餅巾着を唇で食べていると、呑み会帰りでコンビニに寄ってきてくれた白波さんが家にやってきた。
白波「お待たせー。おでん買ってきたよー。」
と、熱々のおでんをすぐさま自分1人だけ食べ始めた白波さんは私がずっと裸な状況に慣れたらしくすぐに盛ってこなくなった。
聖「さけチーくれ。」
白波「はい。」
優愛「…私もおでん食べたーい。」
私は2人だけが腹ごしらえしているのに少し不満を表すと聖さんは私を叩いた手で綿毛に触れるように優しく頭を撫でてきた。
聖「こっち先に飲んでから。」
そう言って聖さんは口にさけチーを咥えながら私の口には自分のしょっぱいごぼう巻きを咥えさせ、手で搾り上げるともっとしょっぱくて苦い塩わさびを私の口の中に出した。
それに満足した聖さんは大きなため息をついて私にタバコ臭い息をかけるとまたさけチーを食べながら携帯を弄り始めた。
私はいつも2人だけの時にくれる『好き』を貰えずにちょっとモヤっとしていると、白波さんがティッシュをくれた。
白波「出しな。」
優愛「もう飲んじゃった。」
私は白波さんがくれたティッシュで聖さんの体についた私のよだれを拭き取り、そのままティッシュをベッド上に捨てて白波さんが買ってきてくれたおでんを今日の夜ご飯として食べる。
白波「今日は家に帰るの?」
優愛「んー、帰る気分じゃない。」
白波「優愛ちゃんって学校の友達と遊ばないの?」
と、この間あった冬休みに大半の時間を2人と過ごしたことをずっと疑問に感じていたっぽい白波さんがまた私の地雷を踏んできた。
優愛「遊んでほしいなら遊ぶけどこっちに来る回数減るよ?」
白波「青春は1度っきりだからおじさんたちに構ってばっかりじゃだめでしょ。」
正論っぽいことを言う白波さんは体に悪そうなおでんの汁を飲み干し、さっきから匂いが漏れ出していた揚げチキンを食べ始めた。
優愛「そのおじちゃんたちが優愛のこと家に呼んでるんじゃん。」
聖「優愛ちゃんも乗り気じゃん。」
白波「おじさんたちのこと、好き?」
と、白波さんはちょっと可愛こぶるように肩をすくませて両手を頬に置く。
優愛「しゅきぴっぴだよーん。そうじゃなかったら警察行ってるよ。」
私が若干の本音を交えながら言葉を吐くと2人は少し引きつった笑いをして自分の行為を誤魔化すように汗をかき始めた缶ビールを口にした。
白波「…まあ、優愛ちゃんに好きな人が出来たらしないから。ね?」
そう言って白波さんはさけチーの次にタバコを咥えた聖さんに尋ねる。
聖「JKに恋愛ってガチで青春だな。それは応援したい。」
優愛「2人とも意外にいい人なんだね。」
「「元からいい人。」」
2人は息ピッタリ嘘をついて恋愛対象の候補がいない私の体をまた消費した。
環流 虹向/愛、焦がれ
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