第4話

「神の意、ねぇ……」

 要機軸には序文と終わりに、『神の意は我が意と同一と思え』と書かれている。

 イブハーブは、六課課長とその部下の大部分が行方をくらませたと聞いても、上の空だった。

 不服そうなウークアーイーは窓辺の壁に背を垂れさせたまま、報告に来た者が地理・戦史課室から出ていくのを待った。

「……負けたぞ?」

 昼食休憩中にやっと部屋で二人っきりになった時、不機嫌そのものの顔を隠しもしなかった。

「シーイナは生きてるだろう? それに最後まで戦場に残ったのは、ウチらの艦隊の方だよ? 派手な損害に目を奪われてるんじゃないのかい?」

 ウークアーイーは聞こえるように舌打ちした。

「おまえの要求通りにしたら、国庫が幾つあっても足りん」

「御用商人から絞りとれよ? 丁度ディビオの社長が捕まったところだし。助けるための資金だって言って会社が潰れるまで吸い上げな。他の奴らなら航路の名前に爵位を付けて与えて、機嫌よく吐き出させなよ。ちょうどコリィドットとベルティの勢力が様子見している。奴らも自分の航路持てば、手放したくなんかならなくなるだろう」

「昔から思ってたが、とんでもないことを普通に口にするよね、おまえ」

 イブハーブは苦笑してしまった。

 つい、聞く奴も聞く奴だと言ってしまうところだった。

「とにかく、今は補給と次の準備のための物資が必要なんだよ。艦隊ってのは大食いの金食い虫だってことぐらいわかっているだろ?」

「わかってはいる。で、次の準備ってなんだ? 聞いてないぞ」

 ウークアーイーは無表情になっていた。

 怒りも限界に達し、余計なところまでのエネルギーは使い果たしているのだろう。

「今回の会戦で相手の戦術の特徴の確信を得たよ。やっぱり海賊連中は序盤で全力を叩きつけてくる。誰が指揮官になっても、一撃離脱は習慣というかもうそういうものという認識なんだろうね。もう一つチャンネルでの無力化作戦と、同時に行う対海賊用兵器を大量使用するのが、言っている次ってやつだよ」

「対疫課が張り切ってるのは、そのせいか」

「それもあるけどね。とにかくルインは無力化したけど、おかげで補給拠点が無くなった。このままじゃ艦隊を動かすことができない」

「わかっている!」

 ウークアーイーは堪らず怒鳴っていた。

 しばらく沈黙が続き、やっとウークアーイーが仕方がない、と呟いた。

「シーイナを召還できるか?」

「止めた方が良い。ああ、あと以前篭絡したって陛下に言っていた奴、本格的にこっち側に来た」

 静かな空気は一分ほども続いた。

 コイツ、いつの間に自分の手駒をどれだけ増やしている……?

「……わかった、良いだろう。電報を送るよ。彼は今度の会戦で勝利した英雄だ。国を挙げて記念日にし、中将から大将に昇らせる」

「ほう……」

 面白いものを見たかのように、イブハーブは口角を上げた。

「で、おまえは何時前線に出て行くんだ?」

 ウークアーイーは、当然のように聞いた。

 イブハーブが理解できないとでも言うかのように、一瞬、目を丸くした。

「何言ってんだ?」

「貴様は今回のプランナーだろう。いつまでこの部屋で文字とだけ格闘してるつもりだ?」

「前線になんて出るわけがないに決まってる」

 イブハーブは当然といった調子で断言した。 

 ウークアーイーは何周目かの怒りを通り越して、呆れかえった。

「なにしろ、私はおまえに人質をやってやってるのだから」

 ようやく、ウークアーイーは理解した。

 この一見、口先だけのうっすらボケーとしている男は、全作戦に責任をもってここにいるのだ。

 ウークアーイーは、理解して大きく息を吐いた。

 クートロア祭司の策までお見通しか。

「……対疫課がおまえを呼んでいたよ」

 やっと落ち着きを取り戻したか、今朝から「研究だけならまだましも、実戦に投入するのは自分たちだけの判断ははばかられる」とウークアーイーも同席することを求めてきていたことを思い出した。

「ああ。じゃあ部屋を覗くか」

 イブハーブはようやく席から立ち上がった。






 艦の数が不足していた。

 四人分の艦隊があるだけで、中でもビージリーの突撃艦の消耗が酷い。コーリオは海上を遊弋中である。

 ラーダでの生活をテビリカは満喫しているらしい。

 昼間まで寝て、明け方にベロンベロンに酔って宿に戻ってくる生活が続いていた。

 寄ってくるのはラーダの権力者や上流階級ばかりで、今や海賊や一般市民すらテビリカを一度の成功で図に乗った上にへつらうだけのお調子者扱いをしていた。

 ティリングも毎夜飲みに出かけている。

 大人しくしているのは、ラーダ中を探検気分でいつも散歩しているトーポリーと、崩れかけた教会で本を読んでいるリーリカムぐらいだ。

 シーウはと言えば、トーポリーについて行く日もあれば、リーリカムの横で暇そうにしているかで、友達ができる様子もない。

 最も危機感を募らせているのは。トーポリーだった。

 ある日、ベンチに寝ころんだシーウの傍で分厚い本のページを広げているリーリカムのところまできて、不安を口にした。

「このままじゃ、でかくなり過ぎた艦隊に大陸が傾くより早く、うち等が煙になって消えてなくなりそうだよ」

「あー、そのうちティリングが動く」

「そのうちって何時だよ?」

「知らんねぇ。艦が回復したらじゃね?」

 深くため息をつき、疲れたようにリーリカムの隣に座る。

「噂だよ。ティリングは頭がおかしくなった挙句に遊びほうけて、大陸艦隊のことなんかもう忘れてるって。ティリングは二年間、無傷で機渦海の海賊総司令官だったのに。相変わらずだよ」

「自分で噂だって言ってるなぁ」

「事実と一緒だよ、あのザマじゃ」

 吐き捨てた。

「……やかましいな」

 シーウが頭をもたげる。

「大陸の連中、ルインがあったところに浮島造って補給とかの拠点にしようとしてるよ。黙ってたら、機渦海もあいつらのもんだわ。あんたが行かないなら、私一人でも奇襲かけて基地建設を頓挫させてやる」

「……やかましいって言ったのに」

 不満顔でシーウが伸びをしながら身を起こした。

 本のページから目を離さないまま、リーリカムは口を開く。

「あんな、もうすぐ五港候から使者が来る。それまで待ってろ」

「来るって、どこから聞いたのさ? 大体、トロイビーが裏切って大陸側についたの知ってる?」

「酔っ払いから聞いた話だ。トロイビーはまぁ、当然っちゃ当然だわな」

「……あんた適当言ってるんじゃないだろうね? 大体何の本読んでるんの?」

「カクテル大全。世界中のカクテルがレシピと一緒に載ってる」

「なるほど、頭の中は酔ってるわけね」

 トーポリーは疲れたという風に上身と腿をぴったりとくっ付けて、かがむようにした。

「……知らないよ。もう、私知らない」

「使者の話はガチだ。それまで寝てろよ」

 トーポリーは無言だった。

「……静かになったなぁ」

 シーウは再びベンチに全身をゆだねる。

「まぁいいや。私はまたちょっと行ってくるから」

「はいよ」

 酒の本に夢中になっているかのようなリーリカムの様子。

 トーポリーは何故か知らないが苛立を覚える。

「……何か変だわ、この光景」

 思わず小声で言い捨てて、そそくさと教会を出て行った。






 トロイビーはまるでそれがいつもの様子だと言わんばかりに厳しい顔つきで、舗装された道路を公用車の後部座席に座っていた。

 精悍そうに陽に肌を焼いた、丸刈りにラインを入れている男だ。

 彼は海賊を親に持ち、艦の中で生まれて艦の中で二十二年間生活してきた。五港のハイカーリから祝福も受けている。

 それが今、イルファン王国の海軍少将だった。

「どうですか、この国の印象は?」

「陸は気に食わないですね」

 イブハーブは苦笑する。

 トロイビーも、あのティリングを破った提督の抜擢者で今回の海賊討伐の計画者が、このようなぼんやりとして危機感のまったくない青年とは思っていなく、態度に不遜さと不愛想が現れがちだった。

 イブハーブはこの海賊の性格を事前に分析しているので、気にもしなかった。もっとも、 そんなことをしなくても、相手が無礼さ丸出しでも不快さを感じるようなことはないのだが。

「元ルイン港、今はイルルインに改名してますが、急ピッチで建設してます。完成すれば、縦横五百メートルの巨大港都市となる予定です。あなたの家も用意してますよ」

「せっかくですが、艦がありますので」

「まぁ、あることはあるので好きなときに使っても使わなくとも結構ですよ。ちょっとついてきてください。見せたいものがあります」 

 ルグイン研究所の一階にある喫茶店での面談から、イブハーブは状況説明に移すために彼を伴い、地下室に向かった。

 恐らく、五階分は掘られた底だろうと、エレベーターに一緒にのったトインビーは思った。

 廊下にでて扉を開くと、蛍光灯がついた一個の書斎のような空間が現れた。

 机で本を読みながらノートに何かを書いていた十代半ばの少女は、二人に気付いて顔を向けた。

「……ああ、これは課長代理。いらっしゃいませ」

 小さな眼鏡をかけ、長い髪で右側の側面に自然と編んだ一本を下ろし、白いシャツに緑の肩からベルトが降りて腹部がアンシメトリーなコルセット上になったスカートを履いている。

「勉強熱心だねぇ。紹介しようウイリカ、こちらは君の上司になるトロイビー提督だ。トロイビー提督、彼女はウイリカといって新造艦二百隻の事実上の艦長です」

 トロイビーは眉を寄せた。

 言っていることがよくわからない。

 二百隻の艦長?

 怪訝な彼に、イブハーブはニッコリと微笑んでみせる。

「実は、この子は人間じゃありません」

 驚いたトロイビーがまじまじとウイリカを見つめると、彼女は不快そうに目をそらした。

「まさか……」

 トロイビーは頭に浮かんだ言葉を否定したかった。

「そうなんです。ウイリカはレプリカントです。それも特別な」

 港都市建築や二百隻の新造艦などと合わせ、この国の工業力と科学力はどうなっているのかトインビーは驚くしかない。

「今さっき、ちょっと気分が苛立ちましたねぇ」

 イブハーブはクスクスと笑った。

 トロイビーは再び眉をしかめる。

 この男はなんなのだ。次から次へと、人に悪戯するように言葉や舞台を用意して披露する。しかも、相手が動揺するかのような態度を楽しがっている風である。

 正直、関わりたくないタイプの人間なのは確かだ。

「許してやってください。この人の癖なんです」

 察したウイリカは、口だけで弁護した。

 どうにもならないだろうという諦観を感じさせる言い方だった。

 無言のままトロイビーは小さく息を吐いて気分を変える。

「……納得しました。しかし、二百隻の指揮官ということはまだレプリカントがいるということですね?」

 厳つそうな外見の割に、トロイビーは良く通る声をして物腰も丁寧だった。

「ええ、随時生産していますが、今は約一万人でしょうか。すぐに五万人まで増やしますよ」

 こちらはどうという特徴のない声で、また相手を弄るかのようなセリフを吐く。

「それらを全て、機渦海に投入するのです。生産完了の時期は、イルルインの完成時期に合わせています。まぁ、もうすぐですね」

 トロイビーは逆に彼の鼻をくじいてやりたくなった。

「残念ですが。幾ら艦やレプリカントを投入したところで、機渦海を支配しようというのは少々難しいでしょう」

 あっけなく、イブハーブは頷く。

「機渦神たちですね。元は旧コーカル帝国の貴族で名士だったという」

「……そこまでご存じなら、何か案でもあるのでしょうか?」

「篭絡中です。詳しいことは言えませんが。ただ、私が知っていることは限られてます。出来れば、機渦神でわかっていることをご教授して頂きたい」

「よろしいでしょう」

 彼の返事を待っていたとばかりに、部屋の隅から椅子を二脚用意するイブハーブ。

「……あの……今、ですか?」

「はい。ウイリカが書記役をしますので」

 始まったと言わんばかりのウイリカは何も口にせず、新しいノートを用意した。

 トロイビーは色々と気分を諦めて切り替え、椅子に座った。






「……つまりは、海そのものが彼等の存在環境ということですか。樹の上に猿がいるような感じで」

 猿を例えに持ってくるあたりで、トロイビーはすでにこの人物には機械的に反応する以外に接することはやめようと決意させた。

「その通りです。もっといえば、鯨が海で生活しているのと同じです。間接神経網は海のなかで作用・反応を起こします」

「その間接神経網で、海賊たちは艦を動かしているのですよね」

「それだけではなく、応用して自然界に干渉する者もいます。あなた方で言えば六課の方々が使っていました」

 イブハーブはうなづく。

「ということは、密度がブラックホールほどの質量になっているのと同じような、間接神経網の塊、という解釈で間違いないでしょうか? 地平面にある主機が引力をつくっているかのような。この場合、間接神経網内の手足の長さが主機ということになるわけですが」

 トロイビーは驚いた。

 軽い説明しかしていないというのに、イブハーブが結論を口にしたのだ。

 異様な頭の回転だ。

 この男が機渦海での争いの総指揮を執っているのだ。テビリカも負けるわけである。

 軽く戦慄したトロイビーだが必死に表面に出さないよう隠して、無表情を貫いた。

 そんな相手の様子を気にした風もなく、イブハーブは一瞬ぼんやりと天井を眺めて口元をだらしなく歪めた形にした。

「……なら、こちらにも色々やり方があるというものですねぇ。ところで、ファガンという人物をご存じですか?」

 彼はポケットから古びた写真を取り出してトロイビーに見せた。

 目が一瞬だけ釘付けになる。

「……名前は聞いたことはありませんが」

「ないけど? 見たことはあると」

「……はい」

 イブハーブの瞳が感情を押さえきれないのか、瞬くように輝いた。

「どこででしょうか?」

 トロイビーは深く息を吐いた。

「……五港候のところで、です」






「楽しくなりそうだねぇ、これ」

 リーリカムは、港近くのバーにある個室の前で、トーポリーとシーウが一緒だった。

 部屋には、港から来た旧コーカル帝国柄のシャツにハーフパンツ、髪は白銀に脱色している三十の後半という話の男が待っている。。

 挑発的な鋭い眼光と歪んだ口元を浮かべる容姿は、十歳は若い印象だった。

 カークタキと名乗っていた。

 時間の五分前に、やややつれたティリングが現れた。

「遅刻はしなかったのね」

 トーポリーは冷たい口調だったが、顔は満面の笑みだった。

「当たり前じゃないか」

「また今日も約束とか忘れて飲み呆けるのかと思ってたよ」

「悪意しかない言い方だなぁ。大体、何のために疲れた身体に鞭打って毎日毎日大騒ぎしてたと思ってるんよ?」

「飲みたいから?」

 即答だったが、ティリングに気分を害した様子はない。むしろ、トーポリーの反応を面白がっている。

「あのね、どうして私が上の連中のところで飲んでたかっていうと、あそこはらは人脈と情報の山なんだよ。むしろ仕事してたんだから褒めてほしいぐらいだ」

 言い方がどことなくリーリカムに似ていたが、トーポリーは内容に納得してしまって関心が行かなかった。

 部屋にいたのは、相変わらず尊大とも思えるほど堂々としたトロープだった。

 隣に白銀に脱色した髪の二十代後半に思えるジャケットの下に急雨帝国の衣装一式を着込んだ男が、これまただらしないと言って良いほどの態度で座っていた。

 ティリングが用意したそれぞれのグラスに、無作法なまでの豪快さでウィスキーを注いでゆく。

 シーウにまでである。

 もっとも、彼女は見向きもしなかったが。

「ここは忌憚なくいきましょうか」

 上機嫌にティリングが言って、グラスの中身を一気に喉に注ぎ込んだ。

 付き合ったのは、白銀の髪の男だけである。

「・・・・・・では忌憚なくいこうか」

 トロープはつまらなげな無表情で言う。

「五港候と五港主は帝国旧臣として大陸の機渦海進出に憤慨している。だが知っての通り我々には物理的な力がない。そこで公は、ルレン交易会社からアーランリをご所望だ」

 相変らず、淡々とした口ぶりだった。。

 興味深げになったのはテビリカとシーウだった。不気味に沈黙しているのはリーリカムである。そんな彼に、上機嫌で「おめーも飲めよ」と肩を叩いてくるティリングだった。

 リーリカムは、無言で一口だけ舐めた。

「……よし。なら、良いでしょう」

 テビリカが鷹揚に応じると、会見はあっけなく終わってしまった。

 トーポリーがこれで良いのかと思ったほどに。 

 全員が部屋をでると、皆、バラバラに小路にでた。

 ゆったりと道して夕刻の港に来たリーリカムは、ついてきているシーウに海面に浮かんだ船を力の入ってない指でさしてみせた。

 ぼんやりと桟橋に立つ姿からは、何を考えているのかわからない。

 潮風が溜まっているなら中で、ふと口を開く。

「さてと……レッスンの時間だ、シーウ」

 驚いたシーウだが、すぐに決心した様子で頷く。

 歓喜を押さえきれないように、両手を拳上にして頬が緩んでいた。

「……武器は何がいい?」

 聞かれたリーリカムは片眉をわずかに跳ね上げ、眼だけ彼女にやると、ぼんやりと雲一つない空を見上げた。

 五港の周りはいつも風がない。時刻から宵の明星が光っているのが見えた。

「何でもいい」

「わかった」

 シーウは近くにある機動艇に乗った。

 よっこらしょと、老人のように口にしてリーリカムは後部座席に座る。

 二ノットだけ目的の船より速度を上げて、ごく自然に航路に入るかのように機動艇を傍に寄せる。

 リーリカムは笑いをこらえていた。

 機動艇はシーウの操縦でいきなり角度を変えた。

 噴射で高度も上げて、船の甲板に乗り上げた。

「……お上品なもんだ」

 昇降口まで足音を消して影を選びつつ一気に走るなか、リーリカムは呟いた。

、ガンデッキを通り過ぎる。

 商船のなかに人影の気配はいまのところなかった。

「最小限の人しかないだろうから、強引にする必要ないかと思って」

「違う……周りがうるさくなる状況なら当たってるが、そんなことがない時は、常に強引に行くもんだ」

 リーリカムの言葉に、わかった風にシーウは何度も頷いて見せた。

 船は特に揺れに対して安定した走りをしているのがわかる。

 船工はそれだけの技術と、発注元がそれだけの資金があった、という証拠だ。

 その癖に、調度品や飾りが少ないのは発注元の性格だろう。

「じゃあ、派手に行こう」

 シーウの武器が今度はカランビットに変わっていた。右手に握ると、もう周りを気にせずに走り出した。

 リーリカムも両手に拳銃を握っている。

 機関室まで降りると、シーウは一目で機関長を定め飛びついた。

 脚で肩口を締め上げると同時に、カランビットで首筋を抉って投げ捨てる。

「全員、動くな!」

 彼女が叫ぶ。

 背後にはリヴォルバーを構えたリーリカムが立っていた。

 機関員たちは突然のことに、思わず動作が止まり、事態を把握すると大人しく従う。

「良い子たちだ」

 シーウはニヤニヤして、全員を船倉に放り込んだ。

 そのまま、キャビンに走る。

 流石に扉前にはスーツ姿の護衛の男が二人いた。

 彼女らを見ると、すぐに役割を果たそうとする。

 それも、一撃をねらってたのだろう。

 間接神経網がざわつく。

 この時点で、力量は大したことがないと判断したリーリカムは放っておいた。

 ついでにラインを軽く伸ばして確認はしておく。

 護衛たちすぐに動揺した。

 能力が使えない。

 リーリカムのみた通り、彼等のちからではタラントートに影響を及ぼすことは出来ないのだ。  

小柄な身体と瞬発力を生かして瞬時に懐一人の懐に飛び込んだシーウは、膝の裏を踵で引っかけて、迎えるようにバランスを崩したところの首頸動脈を掻っ切ると同時にもう一人の腰を蹴って肩に上ると、振り上げる力で左耳の奥まで刃を突き刺した。

「やるねぇ」

 どうだと言わんばかりの彼女に、リーリカムは口笛を吹く真似をした。

 ドアを開けると、テーブルに肘をついたトロープが、待っていたとばかりに息を吐いた。

「……こっちはやりたいことわかってるんだから、わざわざ騒ぐ必要なくないか?」

「祭りは盛大にやるもんだよ」

 リーリカムが応じる。

「血祭りだろ、これ」

「わかったんじゃなかったのか?」

 トロープは椅子にもたれるように座り直す。

「……でだ、私は五港候の言葉を伝えに来ただけだ。おまえらが一緒に会いに行く気ならやぶさかでもないが、そんな手間かけたくないならここらで十分だろ?」

「準備はできてるだんだろ? 間接神経網覗いたよ。今更見苦しいぜ?」

 トロープはやれやれと、天井の片隅に目をやった。

「言ったんだよな、ちょっと時期が早いんじゃないかって。だが公は良しとされた。この時点で、まぁ決まってたわけだがな」

「なら大人しくしておけ」

「好きにしろ」

 言葉が終わるとトロープの頭が弾かれたようになって、身体はゆっくりと椅子からずり落ちた。

「さてとシーウ、船低に穴をあけろ。そしたら帰るぞ」

 シーウはトロープの死体をしばらく見つめて、何かを決心したようだった。






 民衆に何か、記念すべきものを与えるべきだ。

 イブハーブはウークアーイーにそれとなく伝えた。

 考え込んだ彼女は、名案が閃いたとばかりに返した。

「……新都を建築しよう」 

 宰相室内にある私室である。

 光りを赤く染めたシルクで通すようにした、薄暗い部屋だ。

「んー、それはちょっと国庫と国民に負担が大きすぎる。もっと象徴的なものを」

「……アーランリの神殿を造るか」

「それは良いな。だとしたら特に、秘神ということで人里離れたところが理想的だ」

「よし、早速実行するか」

 ウークアーイーは伝声官のある隣の部屋で内府主席に命令した。

 イブハーブにとっても意味がある。

 ファガンを引き寄せるのだ。

 探して見つからないなら、寄ってこさせればいい。

 ことのついででもある。

 戻ってきたウークアーイーの機嫌は良かった。

「なぁ、ウーク。おまえ、ルグインのことをどう思う?」

「なんだ急に」

 ワインを用意しつつ、冗談のフリをした怪訝さを見せる。

「もしも。もしもだ。イルファンから俺たちが逃げるなら、ルグインが一番良いと思わないか?」

「おまえはもう、とっくの昔から逃げっぱなしじゃないか?」

「そうだな」

 イブハーブは苦笑する。   

「懐かしいな、小さい頃のルグインは。相変らずだったが」

「気に入らないか?」

「そんなことはない。なんせ、私たちの生まれ故郷だ」

 じっとウークアーイーを見つめたイブハーブは、注がれたワインを遠慮なく口にする。

「ああ、生まれ故郷だ……」

 呟くように言うと、あとは神殿計画の具体的な話に移った。






 噂は機渦海をすぐに駆け巡った。

 何をするかわからないティリングが、とうとうやったと。

 機渦海の事実上の支配者である旧帝国の貴族の代表的存在である五港候の使者を、殺して船を沈めたのである。

 事実上の反逆だ。

 同時に。ティリング一党が駐留している現在位置も広まった。

 機渦海の大陸東北部の沿岸沖に、港を発見したのだった。。

 驚くべきことに、イルルインから真北二百四十キロ地点である。

 海賊たちは、次々とそこに集まっているとのことだった。

 内心慌てたのはシーイナだった。

「で、だからといって閣下が刺繍に夢中になる理由がわかりません」

 トロイビーが司令部の食堂で、自領としていつも誰も近づけずに座っているテーブルの一画まで来て、彼は頼りないとでも言いたげな態度を見せていた。

「これは私の趣味だ。ちなみに、私服の飾りも全部自分で作ってる」

「聞いてません」

 シーイナは屋っと顔を上げた。

「……なんか、当たりが強くないか?」

 不服さ丸出しである。

 いつもはそよ風のように爽やかさを見せているシーイナだったが、この席に座っている時は人がわかったように、子供っぽい無邪気さと不満感を隠しもしていなくなる。

 食堂は食事や休憩とともに、部下たちにとって、密かな覗き見の楽しみを一つ加わえていたのだった。

「相手に側面を取られています」

「今は休憩中だ」

「朝からここにいるじゃないですか? 今は午後十時です」

「知っている。そろそろ私室で事務決裁して寝ようと思っていた」

「そうじゃありません!」

 いくら言っても、シーイナの様子に変わりはなく、トロイビーは諦めた。

 去り際、呼び止めるわけでもなくシーイナの声が彼にとどいた。

「……あの港は、君らの工築艦という奴のおかげか?」

「はい。我々は工築艦で補給や陣営、艦そのものもその場で改造しますから」

 聞くと、もう興味がないかのように、手元の布と糸にまた意識を集中したらしかった。

 トロイビーは首を振って再び歩きだす。

 彼の姿が消えたところで、シーイナはウイリカのところに颯爽と向かった。






 用意した生バンドが激しく演奏していた広い酒場に集まった面々を眺め、ティリングは満足げだった。

 システィと名づけた港は朝から今の昼下がり、建港以来最大の賑いだった。

 様々な使者がこの海上都市に集まってきている。

 特にコリィドットとベルティからそれぞれ連絡を取ってきたのは狙い通りだ。

「乾杯と行きましょう。前祝いです」

 豪放さそのもので、自ら訪れたベルティがテーブルの上に立ってビールの入ったジョッキを掲げた。

 店内で同調の声が上がり、一気に賑やかさにわく。

「コリィドットからのは、どう見ても小物だな」

 トーポリーは壁にもたれて様子を眺め、隣のリーリカムに小声で呟いた。

「そらそうだろうよ」

 ウィスキーのグラスを持ってしゃがんでいるリーリカムは薄ら笑いを浮かべていた。

 ベルティはティリングに向き直り、半分まで一気に飲んだジョッキを持つ腕を伸ばした。

「ルイン奪還は目前ですな、提督。先陣は是非、私どもが承りたい。三大勢力の一画として恥じない働きをお見せしましょう」

「ああ、任せた! あなたが先陣なら我々の完勝間違いはない! 復讐するは我らにあり!」

 ティリングが上機嫌に答える。

「……な? 協力する気ゼロだろ?」

 リーリカムは、ウィスキーを一口舐めた。

 トーポリーはたった今、持っていた疑問が氷解したのだった。

 つまり、ベルティはコリィドットの海域だった現イルルインを乗っ取りたい、もしくはこの際、徹底的にコリィトッド弱体化を果たしたいのだ。

 だから、コリィドットは敢えて同調する振りの義務だけ果たすために、適当にどうでも良い人物を使者として送ってきたのだ。

「ティリングもはしゃいで、めでたしめでたしだ」

 リーリカムの言葉にトーポリーは、あれはどう見ても素だと一瞬、怪訝におもってから自嘲した。

 ついついトーポリーは常識に当てはめてモノを見てしまう。

 ティリングはいつもこうなのだ。

 彼女は、素で演戯ができるのだ人物なのだ。

 トロープ殺害という自滅しかないであろう、彼等にとっての一見、暴挙も全て計算済みということだ。

 トーポリーは、改めてティリングの頭脳とそれに呼応して行動するリーリカムの二人に、感嘆した。

 同時に、危うさの穴埋めと地盤固めが自分の役割だと自覚する。

「ご一緒しませんか、閣下?」

 壁から移動した彼女は、ベルティのところに移動して蠱惑気に誘った。

「おお、これはティリング閣下のところイチ美女で有名なトーポリー提督。喜んで」

 今までの曲調がいきなり変わり、メロディアスな雰囲気の歌をバンドが奏で出す。

 ベルティとトーポリーは、バーの中央にできた輪の中心で優雅に踊る。

「くっだらねぇの」

 悪態を吐いたのはそれまで黙っていたシーウだった。

「さっきまでの歌の方がよかったのに」

 リーリカムは聞き流す風で黙っていたが、グラスを床に置くと少女に手を差し伸べた。

「……一曲いかがですか、お嬢さん?」

 一瞬、目を丸くしたシーウは、ニッコリと笑って逆にリーリカムを引っ張るようにして、トーポリーの隣に来ると、リーリカムと一緒に拙く二人の真似を始めた。






 深夜も朝に近いが、宴は終わらない。

 元々が、遊び人のような連中である。

 お祭り騒ぎもやるときは徹底的にやるのだ。

 だが、ティリングの幹部たちは酒場にある小部屋に入れ代わり立ち代わりと消えたり出たりしていた。

 ティリングが待つとリーリカムが疲れたとでも言いたげな、だらしなのない動きと態度で小部屋に入って来た。

 もっとも、いつもこのような様子の彼だったが。

「準備は?」

 ティリングは前置きも何もなく聞いてきた。

「ああ、今やってる。あと二日かかるな」

「一日でやらせろ」

「あーハイハイ」

「大体、遊びのネタも尽きるだろう。今日でここにいるの一週間目だぞ?」

「わかってるって」

 手を振り、それだけでリーリカムは部屋を出た。

 各港の政財界の人々の姿も酒場にはあった。

「正確には、あと何日なのですか?」

 そのうちの一人の老婦人が尋ねて来た。

「そうですね、四日後の午後にはお披露目ができます」

「楽しみにしてますよ」

「送迎の用意もしてますので」

「ええ。それは御親切に」

 彼女は言って、また上機嫌に自分たちと同じような塊の集まりの一つに戻っていった。

 彼は店内を一周すると、密かに外にでた。

 思った通り、ベルティ本人以外の部下たちは消えていた。

「統率のとれたもんだ」

 歩きながら言って、海底を使った裏の港に行く。

 そこには出航準備の整った艦艇が揃っていた。

 トーポリーとシーウが駆けまわっていた。

 鬼ごっこをしているらしいが、追うトーポリーの様子はかなり必死だ。一方のシーウは余裕を見せて、からかいつつ楽しんでいる。

 逆だろう、とリーリカムは内心でツッコミを入れていた。

 間接神経網で全ての艦の整備状況を観る。自艦隊以外もだった。

 セットアップはきっちりと整っていた。

 自動調整は完全なようだ。       

 これは毎日しておくようリーリカムがテビリカ経由で徹底させている成果だ。

 港でそれぞれ己の時間を過ごしていた提督たちに、リーリカムは言った。

「これよりアーランリ奪還作戦を実行する! 各自己の責任を全うせよ!」

 おぉー!という、雄たけびにも似た返事が港を満たす。

「トーリポー、おまえにはベルティの処理を頼む」

「・・・・・・わかった」

 不満ではあったが、納得できる話なので彼女は了承した。

「ついでに、シーウもだ」

「なんで!?」

「いいから、行け」

 反論を許さない言葉ではあったが、雰囲気は優しくどちらかというと懇願に近い。

「・・・・・・へーへー、そうですか」

 しょうがねぇな、と小さく付け加えて返事をする。

 リーリカムは第二番艦隊、第三番艦隊、第六番艦隊に出動を命令した。






「ざっけんなっ!!」

 洋上でシーウは怒りを爆発させていた。

「おやおや、どうしたのです?」

 指令部で、ベルティが少女に聞いてくる。

「寄って来んな、キモい!」

「怖いなぁ」

 彼は苦笑交じりに笑い、トーポリーに向きを変えた。

「・・・・・・あの子、なんなんです?」

 素朴な疑問らしい。

 有望なものなら年齢などかまわない彼らだが、シーウの異質さを感じているのだろう。

「普通の孤児ですよ」

 トーポリーは即答した。

 一時期は、彼女も取り込まれかけて自然に受け入れていたが、教会でのリーリカムの態度は頷けるものとなっていた。

 証拠に、ベルティの判断に迷っている態度だ。

 これでアーランリを手に入れれば、少女を完全に無力化できる。

「ベルティさんのおかげで、ティリングは状況を打開できると大喜びでしたよ」

「光栄ですな」

 彼は満足げに頷いた。

 艦艇数は、突撃艦四千、砲艦三千、工築艦三千だった。

 これに、トーポリーの砲艦五百、工築艦五百が加わる。

 索敵にかからないよう、深夜の行動だった。

「敵艦隊前衛と本体確認! 距離八十!」

 通信士からの報告に、ベルティは苦い顔をした。

「艦隊展開。会戦にそなえろ」

 だが、さすがに骨髄反射で通常通りの命令を下す。

 凸型の両脇に砲艦を置いた陣形に以降させつつ、二十ノットで全進する。

 全方に哨戒用艦艇をだして、相手を探った。

 相手は、確実にシーイナの本隊だ。

 戦艦十、巡洋艦四十、駆逐艦八十。

 前回と同じく、というべきか、すでに第一甲板まで船を沈降させて広く形を取っている。

 鋼鉄でできた広い平原が目の前に現れたのだ。

 距離が三十キロまで来た時点で、ベルティは攻撃開始命令を下した。

「なんだ、連中はティリング本体じゃないのか」

「三大勢力の一つでベルティという海賊のものですね」

 トロイビーの説明に、何でもことのようなシーイナは、形ばかり頷いてみせた。

 そばにウィリカとトロイビーが控えている。

 海賊生まれで機渦海育ちのトロイビーは、改めてイルファン帝国の威様を学んでいた。

 何度もティリングではない、他の勢力のところに行こうか誘惑されたが、そのたびにこの国の大きさに圧倒されるばかりだった。

 特に、極秘でイーリブという男に会った時が決定打だ、

 それ故に、彼はシーイナと一緒に艦橋にいる。

「ウィリカ、用意を」

 シーイナは、水平線に見える海賊艦隊を見据えて言う。

 両艦隊は静かに接近していた。

 最初に砲火を放ったのは、シーイナの方だった。

 それを合図に、ベルティ艦隊から突撃艦が一気に加速して接近すると同時に、砲艦が応戦した。

 通常、艦壁に穴を開けて浸水させ、ついでにレプリカントで船を乗っ取るという突撃艦だが、甲板に乗り上げてレプリカントを上陸させる形を強要されていた。

 五千の武装したレプリカントが、バラバラに艦が作る平原に降り立ち、それぞれ目指す艦橋に走る。

 トロイビーの出番だった。

 混ぜていた工築艦で、平原に坂と壁を造り出す。

 唐突にできた障害物に、レプリカントたちは全進を阻まれて、十字砲火のまっただ中に突入していたことに気づいた。

「聞いてないぞ、こんな話!」

 前線で崩れてゆくレプリカントに、ベルティが思わず叫んだ。

 助言を求めようとして指令部を探すが、イーポリーの姿がない。

「ええい、砲撃で進路を確保!」

 命令のもと、計算の終わった砲艦が一斉に砲撃方法を変える。

 だが、ベルティからの砲は、シーイナ艦隊外郭にできた防壁により、阻害された。

 孤立した彼のレプリカントに、ウィリカ指揮の陸戦隊が突入する。

 なんとか各所で方陣を造瑠以外、ベルティのレプリカントたちには手が無かった。

「トロイビー提督」

 高い艦橋で眺めていたシーイナは横の男の名前を呼ぶと、彼は頷いた。

 水中から現れた突撃艦が、艦上に並んだかと思うと、障害物と舷壁が消え、急発進した。

 ベルティのレプリカントが造った方陣群に衝角を向けてである。

 方陣は、必死の銃弾を突撃艦に浴びせたが、無駄な行為だった。

 一瞬にして、現壁の消えた艦上から、レプリカントたちは吹きとばされていった。

「イルファンに我らの技術があるなんて聞いてないぞ!?」

 ベルティは、怒りで指揮台に拳を叩きつけていた。

「艦影、後方五十!」

 驚きを混ぜた報告が飛んだ。

「どこの艦だ!?」

「ディビオ商会の護衛艦と見られます!」

「まさか、ディビオだと?」

 流石にベルティは茫然となった。

 その一瞬の間が、勝敗を決した。

 まるで吸い込まれるかのような、見事な集中砲火が後方から圧倒的な砲門数でベルティ艦隊を襲い、同じくしてシーイナの弩級戦艦ディ・スロ、ローキュ・バーラ、スタービ・カーズの四隻が浮上し、艦砲を撃ちだしたのだ。

 確実に削ってくる後方の砲撃とは違い、戦艦の砲は海面から数十隻の機渦海艦をたったの一発で微塵に砕いた。

 竜巻のような水柱が機渦海面に幾本も立ち上る。

「おのれ、もうすぐというところだというのに!」

 ベルティは怒りを爆発させて叫び、自ら突撃艦に乗った。

 そして一気に加速すると、海面から浮上し、ミサイルのように真っすぐシーイナの旗艦艦橋に迫った。

「環境部乗員退避!」

 冷静に指示したシーイナはゆったりと、その場を後にした。

 タラップを降りつつ、考える。

 相手にティリング艦隊がいなかった点をだ。

 海戦には勝利したが、これは、完全に罠に嵌ったことを意味している。

 爆風が頭の上を掠るが、意に介したところがない。

 炎が巻く上階から平然と降りてくるシーイナを、乗員たちは憧憬を込めて迎えた。

 内心恥辱も同然と不服に思っていても、彼女は微笑みで彼等に答えるように軽く手をあげた。

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