第4話

道を渡って、安全な場所に降ろそうとした…が。


「あのー…」



俺の首もとにある腕に、ギュッと力を入れたまま離れない。



どうするべきか。

全くわからないが、とりあえず声をかける。



「俺は悠陽(ユウヒ)。

君は?」



自己紹介をしてみた。


恐らく、苗字を名乗るよりは名前の方がいいと思い、名乗る。



すると、

「麻耶(マヤ)…」



この子を抱えていなければ、聞こえなかっただろう、その声。


不安が伝わってくる声だった。



「麻耶ちゃんか。

いい名前だ。


帰れる?歩けそう?」



制服姿の男子高校生が、女の子を抱えているのはかなり珍しいことらしく、周りの目が少し気になりながら、端に寄って話しかけた。

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