第12話 Sランクの条件



「おはよーさんっす」



「‥すみません、気を失ってました。」




目が覚めたら襲ってきた3人が目の前にいてカゲツナはその3人が俺に近づかないように護衛をしてくれてるような状態だった。


時計を見ると気を失ってたのは1時間くらいか。


「カゲツナ?護衛してくれてありがとな。」



「ぐぎょ!」



どうやらあちら側の話し合いは終わったらしい。警戒してない所を見ると誤解は解けたか?まぁ多分誤解じゃないのが事実だが。



「おにーさん突然ウチのハゲがすみませんっす。」


「だからハゲって言うな!」



「‥いいえ、ただ俺の誤解は解けましたか?」



「まぁそうっすね。その前におにーさん【狂星】の人間っすよね?どうしてここにいるんすか?」


そりゃあ知ってる人は知ってるか。さて、なんて言うか?



「色々あって俺はあのチームを抜けたんですよ。」


「え!?大剣豪と賢者がそれを許したんすか!?」



「あの2人には黙った形で抜けました。俺があのチームにいるのは実力不足だとリーダーに言われたんで。それに俺もそう思うフシがあったんで1人でやれる所までやりたいな。と。」


「‥‥他所の話なんで俺は何も口出ししないっすが、俺らん所に来る気はないっすか??待遇も俺等と同じにするっすよ?」



「は?」



「おー!!」



リーダーらしき人が俺を勧誘してくれる。たまにこう言う冗談を言ってくれる人がいるんだよな。



「はは、御冗談を‥俺なんかをチームに入れたらそちらのチームの格が下がりますし、どうせチームを組むならアイツラが良いです。」



「というか狂星もギルドには未加入っすよね?どうせならチーム皆で俺達が作るギルドに入らないっすか?最初はおにーさんの確約だけ貰えたら、狂星のチーム全員【役職】付けるんで、勿論おにーさんもっすよ?そしたら【Sランク】にもなれるっすよ?その能力があれば強さも楽勝っすよね?」




そういうことか。この人は俺で狂星を釣ろうとしてるんだ。


まず冒険者ランクは強ければAランクまでは簡単じゃないが強ければスムーズに上げることが出来る。



しかしSランクは強さだけでは上げて貰えないのだ。



Sランクになれる条件はまず1つ目は強さ。これは絶対だ。だけどこの強さだけなら前のチームの奴等なら突破出来るだろう。

2つ目は社会的地位。これも簡単だ。ダンジョンを攻略して悪いことをしていなければ自ずと達成出来る。

3つ目。これが1番大変だ。それは【ギルドを作ってそのギルドの役職に就く】というものであり、ギルドは最低20人はいないと国から認可してもらえない。ギルドを作ったとしても10名のギルドメンバーに対して役職は1つ。なのでチーム1つ全てがSランクになりたいなら自分達で40〜50人の仲間を集めてギルドを作らなくてはならない。


「いや、どうなんでしょうね?俺のこの能力もまだ発現したばかりなんでどこまで強いのか分からないんですよ。」


「はは、あの器用貧乏が【強い】を前提で話してる時点で楽勝っすよ!」


「‥‥まぁ、俺はあのチーム脱退してるんでアイツラの勧誘は難しいと思いますよ。」



「尚更そっちの方が俺は都合がいいんすけどね。まぁこの話は追々で良いっす。」




追々するのかよ。



「あ。それと連絡先交換しないっすか?もし何かあった時に得するかもしんないっすよ?」



「交換するぐらいは良いですけど‥」




「うっし!!そしたら俺等はこの辺でおさらばするっす!本当にウチのハゲがすいあせんっした!!」



「だから!ハゲって!呼ぶな!!‥俺はまだお前を疑ってるからな!!」



「おー!!また会えるの楽しみにしてるぞーキヨービンボー!!」



3人組はそう言うとそそくさとこの場所を去っていった。




「‥ふぅー。なんとかなったか。生きた心地がしなかったわ!!」



気を取り戻したばかりだがまた俺は地べたに腰を下ろし大きく息を吐いた。



「Sランクか‥‥」



本当であれば今月中にはチームの奴等をSランクにするためにギルドを設立しようと思っていた。メンバーもアイツらの名前を使えば簡単に集まるだろうし、元々【アイテムクリエイター】達を集めて会社兼ギルドという形態を作ろうと動いていたんだ。


アイテムクリエイターは戦闘に不向きなスキル持ちが多く、昔からそのアイテムクリエイター達が稼げるように助けていた。

そのおかげでアイテムクリエイター達は少しは稼げるようになっていて総勢46名の人達は俺が作ったギルドに加入してくれる手筈になっていた。



まぁ俺が作ったのは【アイテムショップアプリ】というもので知識さえあれば誰でもできるようなことなんだが、俺に対しての利益は度外視みたいなアプリだからどれだけ商品が売れても月に入ってくるのはせいぜい10万前後、副業としては凄い結果だが、このアプリを作った時は一億円を目標にしてたから微々たるものだと感じていたんだ。



「皆にも黙って来ちゃったな‥もう俺がいなくても皆大丈夫だろうから心配はしてないけどな‥」



「ぐぎょ!!」


「お?そうだな。そろそろ俺達も先に進もう。」



Sランクよりもまずは目先のランクを超えていかないとな。



「この能力があれば‥‥今回の攻略でBランクには昇格できるよな。」



俺個人のランクはまだまだなんだ。まずは一歩一歩進んでいこう。



「カゲツナ?宜しくな?」



「ぎょおおおお!!」



なんだかんだあったがここからがこのダンジョン攻略の本番だ。


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