第10話 称号とは
【称号】
何かしらの偉業を達成したりダンジョンを打破したりすると得られるものだ。
例えばモンスターハウスを1人で入り1000体以上のモンスターを駆逐するのに成功すると【一騎当千】という称号をもらえたり、ダンジョンの中から出ずに1年過ごしボスを毎日倒すと【ダンジョンの主】の称号を得られたりする。他にも色々とあるが比較的簡単に称号は手に入れられるものだ。
称号は持っているだけで強化してくれるので得る場合殆ど損をすることはない。
「【マッスル殺し】って称号あるんだなあ。」
そう。シャーマのステータスを見て驚き過ぎて平常心に戻る程の鑑定結果だった。
「ノウキンズのチームはシャーマ達に殺られたか。
本当にどうやって勝てたんだ?【マッスル殺し】に【ジャイアントキリング】。それに【魔王が主】って、俺は魔王でもなんでもないただの人だぞ?
‥明らかに格上と戦ってるよな。それにレベルが32?レベルってそんなにすぐに上がるもんなのか?
スキルも‥これって職業スキル?だよな?モンスターで職業スキルもってるなんて初めて聞いたぞ。」
ステータスの内容がとんでもないことになってる。もうシャーマだけいれば充分やっていける‥いや天下とれるんじゃないか?
そんなシャーマのステータスを今一度確認すると自然と眉間にシワがより、息をするのを忘れてしまう。
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名前シャーマ
種族:武者ゴブリン炎魔呪師将軍
テイム者:新巻 剛
レベル:32
スキル:【身体デバフ攻撃】【隠密】【夜目】【式神炎魔】【デバフフィールド】【炎魔呪師LV1】
称号:【マッスル殺し】【ジャイアントキリング】【魔王が主】
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シャーマは【武者ゴブリン炎魔呪師将軍】という武者ゴブリン将軍の派生系のモンスターと予想出来る。本当であれば武者ゴブリン将軍になる筈が何かしらの要因でこのような進化を遂げたが俺が最後に持たせたあの指輪の影響だと容易に想像できる。
炎魔師は聞いたことあるが炎魔呪師という職業は初めて聞いたぞ。炎魔呪師の隣にレベル表記があることからこのスキルが職業スキルということは分かったが、他にも式神炎魔、デバフフィールドという2つのスキルを覚えてる。
「この鑑定紙じゃ名前しか分からないんだよなあ‥」
スキルは今迄に聞いたことのあるスキル名に似てる物もあるが、同じ名前のスキルだとしても内容が違うなんてことはザラにある。
進化した状態で発生してるスキルなら強スキルなのは間違いないが【デメリット】付きのスキルだったら試させるのももったいない。
「こんな時にリアがいてくれればな。」
前のチームメイトだった1人はスキルや称号の詳細まで分かるスキルを持っていた。アイツがいればどんなスキルなのかもタダで分かるのに‥
「そして【魔王が主】って俺は魔王でもなんでもねえよ‥なんだよ魔王って。」
有名なモンスターに【魔王】の名を冠するモンスターがいる。中国に1体、アメリカに1体。そしてここ日本に1体存在する。そのモンスターは全て【SSS】クラスと認定されていてダンジョンから出てきたら相当な被害が予想されるモンスターだ。
シャーマの主はそんな化け物達じゃなく、昨日まで落ちこぼれの烙印を押されていた俺だ。そんな俺が魔王なわけがあってたまるか?
「まぁ、シャーマは外に出さないし今は考えないで良いか?」
「ぎゅ、ぎゅおお‥?」
悲しそうな声をするシャーマ。すまん、それでも俺は問題を大きくしたくない。
「シャーマ?どうしてもの時はお前に頼らせてくれ。ただ今はお前がいると問題が起きそうな気がするんだ。分かってくれ。」
「ぎゅおおおおぉ。」
そしてシャーマとゴブリン侍を1体ショップの保管場へと戻した。
保管場に戻す時は頭で念じたら指定したモンスターを転移させる事が出来るが、この能力は自分がテイムしてる時だけの能力である。
なのでテイム機能を使わずにモンスターを召喚したり、誰かにタイム機能を付けた状態で召喚してもこの機能は使えないのだ。
「ふぅ‥‥ゴブリン侍でも注目はされるだろうが、シャーマよりはマシだろう。これから宜しくな?」
「ぎゅお!!」
「そしてどうせならお前にも名前を付けよう。これから共に冒険する仲間だ。」
ここはかの有名な伊達政宗が有名な場所だ。そうなったら付ける名前は1つだろう。
「よし、お前の名前はカゲツナだ!!」これから宜しくなカゲツナ?」
「ぎゅおお!!」
伊達政宗を愛し愛された名将といえばカゲツナだろう。本物のように俺の事を敵から守ってくれ。
「それじゃあもうこの場所には用は…誰だ?」
カゲツナと2人でこの場所から離れ本格的にダンジョンを攻略しようと思った矢先。俺がこの場所周辺に設置していた【探知くん】というマジックアイテムに人の気配を感知した。それも3人。
「こんにちわー!ちょっと良いっすかー?」
「おい、警戒しろ。アイツはゴブリン侍を従えてるんだぞ?」
「おおー!!テイマーか!!珍しいねえ!?」
見るからに高ランクの冒険者が俺の元へとやってきた。
「お疲れ様です‥何か御用ですか?」
見るからに格上の冒険者だ。元々のチームメイトとどっこい‥いや、少し上か?
持ってる装備も高ランクのダンジョン産だろう。3人とも付かず離れず、そして周囲を俺にバレないように注意してる。明らかに【警戒】してるのが見て取れる。
「いやー、この辺で冒険者が探索してるの珍しいなーとおもってすねー!」
「‥それで?」
「警戒しないでくださいよー!!別に俺等はオニーさんを狙ってやって来たわけじゃないっすからー!!ただ依頼で探索してるだけなんすよー!」
「依頼で探索?‥1階をですか??」
「そうなんすよー!!なんでオニーサンこの辺で
【何か怪しいことはしてませんでしたか】?」
「いや、俺はこの辺でこのカゲツナと探索してただけですけど、それが怪しいことではないですよね?」
これは何か疑われてるのか?
いや、逆に高ランク冒険者だからわかるはずだ。俺にはノウキンズを倒す術がない。
もしシャーマがいたら話は変わってくるが俺とゴブリン侍では良くてBランクのモンスターが関の山だ。
それにこの口ぶりからするとこの3人の中で誰かは【鑑定系】のスキルを持ってるはずだし、俺のスキルがショップということもわかるはずだ。
ゴブリン侍に‥称号で【マッスル殺し】ついてたらバレるんじゃないか!?
ヤバい、その可能性を忘れてた。
「‥‥そうっすねー!それは普通のことなんで怪しくはないっすねー!!」
「そ、そうですよね?所でアナタ達のような高ランクがこの低層を探索依頼で来るなんて何があったんですか??」
「んー!!メンゴなんすけど、それはちょっと守秘義務で話せないんすよー!!」
それはそうか。でもこの感じなら何も問題なく話は終わりそうで良かった。もしゴブリン侍がマッスル殺しなんてあれば言い逃れは難しいだろうしな。
「それなら俺達はそろそろ違う場所も探索するので先に行きますね?」
「りょーかいっすー!!長々と話してマジですんません!!お前らももう良いっすよねー?」
少し世間話も踏まえつつ事情聴取をされてあちら側も納得したのかこの場を離れられそうだ。
「じゃあ俺達はこれ‥『魔王が主って称号があるぞ!!』
‥え?」
「魔王っすか!!?」
「コイツ魔王なのかー!!すげえー!!」
「バカ!!魔王だぞ!!警戒しろ!!!」
あれ?【マッスル殺し】じゃなくて【魔王が主】の称号は付いてるの?
え?なんで?
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