第8話 重さ



『剛、お前が殺らなかったら俺が代わりにヤッていた。ああしないと逆に芥見がやられてたんだぞ?』



『ああ‥‥分かってる。』



『ごう‥‥ごめんなさい。うちが油断したから‥‥』



『いや、莉愛のせいじゃないさ。元々はアイツラが襲って来なければ良かった話だし。』







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「あの時は長い期間落ち込んだな‥」



高校生という多感な時期だったのもあるかもしれないがあの時は相当酷かった。莉愛と武蔵がいてくれなかったら俺の心は壊れてたと思う。



「早くまたアイツラと冒険しないとな。」



アイツラ2人、いやチームの皆には恩しかない。


最後の方はリーダーやもう1人はあれだったがそれでもずっと一緒にいて苦楽を共にしたんだ。




それこそ犯罪者みたいな冒険者を皆で討伐して結束が固まった時もあった。


「犯罪者だとしても人間を【討伐】するのは慣れないけどな。」



慣れてもいけないと思うが今ではもう躊躇はしなくなった。それこそ今のこの瞬間なら【楽しみ】にすら感じてしまう俺がいる。



「俺も気をつけよう。魔に染まらないように。」




スキルが強かったりすると人格が横暴になったり犯罪者になる者は後を絶たない。俺も気をつけないといけないなと思い一息深呼吸をして心を落ち着かせると目の前の現状について考え始めた。


 




「武者ゴブリンシャーマン‥‥長いからお前に名前を付けよう。」



「ぐぎょおん!!」



「んー‥いや安直で良いか?でも初めてのテイムした仲間だし‥



シャーマにしよう!これからお前はシャーマだ!」




「ぐぎょおおおおお!!!!」



安直だったけど気に入ってもらえたようで良かった。



「そしてこれからどうしようか‥シャーマは戻すこともできるけど、元々コイツがここまで進化したのはこの巣の場所にだれも来てないのが大きな原因だと思うし‥」



それならここでシャーマはこの場所でモンスターを倒してレベルをあげてて貰ったほうが良いんじゃないか?

どうせもう今日は遅いし、こんな1階で狩りをする冒険者もいないだろう。来たとしてもこの場所に来る可能性も低いと思われる。



「それにそっちの方が【仕入れ】も出来る。」






そう。テイムモンスターが対象を討伐した場合でも自分が討伐した扱いになる。

それならシャーマに冒険者がそんなにいない内にこの1階でモンスターを倒してて貰ったほうが効率的だ。




「そうなるとシャーマだけでは可哀想か‥



‥武者ゴブリン2体召喚!」





シャーマだけでもこの場所で出現するモンスターには勝てると思うがモンスターも生物であり体力もあれば疲れもある。睡眠もするだろうし1体だけでは心許ないのも事実だ。

2体の武者ゴブリンをお供につける為にショップから2体の武者ゴブリンを出現させた。

勿論【レベル】【テイム】のオプションは付けた状態でだ。



「ぐぎょ!!」



「ぐぎょぎょ!!!」



スキルも【身体強化】の在庫が3つあるので2体どちらにもスキルを付けている。



「これから宜しくな?シャーマン?お前にこの2体を預けるからこの周辺のモンスターを倒しててくれないか?」




「ぐぎょおおお!!!」




「あ、それと武器は渡しとくか‥シャーマにはこれで、武者ゴブリン2体にはこれだな。」



収納リングから死蔵している武器を取り出し3体に渡す。




「ぐぎぃ!」



「ぐきぎ!!」



「ぐきょおおおお!!」




「気に入ってくれたようで良かったよ。」




シャーマにはCランクダンジョンでドロップしたマジックアイテムの【硬化の棍棒】



そして武者ゴブリン2体にはBランクダンジョンでドロップした【魔鉄のナイフ】を渡した。



硬化の棍棒は単純に凄い硬いだけの棍棒だが、木製の材質なのに鉄みたいに硬い。実際の鉄を使ったら重すぎて使い勝手が悪いだろうが硬化の棍棒なら簡単に触れるので地味に強い武器だ。


魔鉄のナイフは普通の鉄のナイフよりも硬くて切れ味の良いナイフだ。この場所なら大いに活躍してくれるだろう。





「初っ端から700万円も使ってしまったが必要経費ということで割り切ろう。」



そろそろ帰らないといけない時間帯だが、モンスターを3体テイム状態で召喚するたけで700万以上。マジックアイテムも大盤振る舞いしたし、1日でこんなに出費をしたのは人生で初めてだ。



「出費ついでにこれもシャーマに渡しておくか。どうせ俺では使えないし。」



そう言って取り出したのは俺の持つダンジョン産アイテムの中でもレアなアイテム。


それは赤い宝石の付いた指輪だが、その赤い宝石の中は炎が閉じ込められてるような流動物が動いている。



「シャーマ、これをお前に渡す。大事にしろよ?」



「ぐぎおおお!!」


「この指輪はな?【炎球の指輪】っていって念じれば【ファイアーボール】の魔法を撃つことが出来る。たたし、自分の魔力を消費してファイアーボールは発動するから考えて使えよ?」



「ぐぎょおおお!!!」



そう。このマジックアイテムは装備するとファイアーボールの魔法を発動することが出来るアイテムだ。ファイアーボールは低級の威力ではあるが、くらえば中々のダメージにはなる。これがあるだけでも戦力の幅が増えて危険も少なくなるだろう。



「っと、本当に帰らないとやばいな‥‥それじゃあシャーマ?後は任せた!俺は明日また朝イチにはやってくるからそれまで頼む!!


沢山倒しておいてくれよ!!武者ゴブリン達も宜しくな!!」



「ぐぎょおおお!!」



「ぐきょ!」


「くぎょ!」





俺は3体を見送ってその場を後にした。



明日からは本格的にダンジョンを探索していくためにキチンと準備してから行かないとな!





「明日が待ち遠しい!!」






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