第3話 ダンジョンは稼ぎ場所



【若林城ダンジョン】

この東北にある有名なダンジョンの1つであり、このダンジョンは学生の新米探検者から有名な高ランク探検者まで幅広い層の人達が活動しているダンジョンだ。

その理由はこのダンジョンから取れる素材も他では獲得できないという理由が大きな理由ではある。しかし1番の理由は階層が多くこのダンジョンは日本で3番目に深いダンジョンだからだ。



「修学旅行以来か‥懐かしいな。」



ダンジョンの入り口にはお土産の売店や東北ならではのご当地グルメの出店が沢山ある。



「ずんだ餅に牛タン、蒸しホヤは食べて吐いちゃったんだよなあ‥」



売店にイタズラして先生に怒られたのは今となっては良い思い出だ。


 

「あの頃は全員仲良かったな‥」




学生の頃を思い出しながら出店の街道を進むと【ダンジョン入り口受付】という看板のある場所へとたどり着いた。



「いらっしゃいませ。1名で宜しかったですか?」



「はい。新規登録で1階からでお願いします。」


「かしこまりました。探索者証明書をお願いします。」



受付の女性に俺の【探索者証明書】を手渡すとテキパキとした手つきで書類を作成してくれる。



【探索者証明書】とは車でいう免許証の様な物で中学を卒業すると【スキル】を持っている者は大抵持っている身分証だ。


これが無いとダンジョンに入ることはできずランクによっても入れるダンジョンが変わってくる。


ランクが低いと高難易度なダンジョンは入れないというのと、ランクが高くても【耐性系】のスキルがないと入れないダンジョンもあるのだ。


例えば【マグマ湖ダンジョン】というダンジョンの中に入ると普通であれば火傷してしまうようなダンジョンがあり、そのダンジョンを探索出来る者は【熱耐性】や【火耐性】が無いと許可されず

【毒沼ダンジョン】といういかにもな名前のダンジョンは【毒耐性】を持たないと許可されなかったりする。


他にも【剣術スキル】や指定のスキルが無いと入れないダンジョンや【ソロでの探索】じゃないと入れない【特性ダンジョン】というダンジョンもあったり


ダンジョンの中がまるで人の街並みみたいなダンジョンや雲の上に来たようなダンジョン、大きな生物の上に乗ってるようなダンジョンと色々なダンジョンがあるのだ。



俺もいつかは【ショップスキルダンジョン】にも行ってみたいな。


幸運な事にショップ系のスキル持ちしか入れないダンジョンはこの東北地方に1つはある。

前までならスキルがキチンと発動出来る状況ではなかったから無理だったけど、今ならスキルも解放してるし【今回のダンジョン探索】さえ無事終了すれば行けるようになる。

出来る限り早めに行けるように計画を立てなきゃな。



「大変お待たせ致しました。受付は終了しましたので次回からはそのままお入りください。」


「ありがとうございます。」


そもそもが修学旅行の時にこのダンジョンには来てるので再度ダンジョンに入る為に受付をする必要はない。


ただしそうなると俺は前までいたチームの人間としてダンジョンに入ることになってしまいメンバーは今俺が何処にいるのかが分かってしまうのだ。


その為【新規登録】ということで再度ダンジョンに入る為の登録をし直したんだ。


探索者証明書を返してもらい受付の女性にお礼を言うと足早にダンジョンの入り口へと向かって行った。



「今度あいつらに会った時は驚かせてやれるぞ。」


その前に突然いなくなったことで殴られるのは確定か?



「そうなったらその一発は甘んじて受けよう!!」




少しでも早くスキルを試したいという気持ちが足早にさせてしまう。




「まずは【仕入れ】からしないとな。ワクワクしてきた。」



スキルは解放したがまだ発動するためには準備がまだ終わっていない。


今のスキルの状態は例えるならお店は建てたがそのお店に商品が1つも無い状況であるのだ。


俺はこのダンジョンにお店に並べる商品である【モンスター】を仕入れに来たんだ。











「1人でダンジョンに入るのも久しぶりだ。少し緊張するな。」





ダンジョンの入り口にある【ゲート】から若林城ダンジョンの1階へとやってきた。


このダンジョンは江戸時代の山道のような場所からスタートするダンジョンであり、真っ直ぐな砂利道になっている。


その砂利道から外れると山の中を歩いてるような場所になるんだが今日はもう日も暮れてるし近場で活動することにしよう。




「このダンジョンの1階ならこれで楽勝だろう。過剰戦力とも言うが。



【マジックリボルバー】!」



流石に素手でモンスターと戦うのは大変だ。俺は中指に嵌めている【収納リング】からマジックリボルバーという装備品を取り出した。




マジックリボルバーはダンジョン産のドロップアイテムであり俺のチームで手に入れたアイテムだが皆使わないということと売ったとしても二束三文にしかならないだろうという理由で俺が貰ったアイテムの1つだ。



「まぁ武蔵とアイツはコイツの価値に【分かっていた】気もするけどな。」




マジックリボルバーをドロップしたダンジョンは

【魔機ビトの街】というAランク上位にあたるダンジョンだった。

ソコでドロップ出来るアイテムは俺が持っているマジックリボルバーに【似ている】アイテムがドロップしやすく売ったとしてもあまり高値で売れるものではなく、性能もそんなに良くはない。





「マジックリボルバーはマジックリボルバーだけどその後ろに【名前】が付いてれば話は変わる。」




そう。俺の持っているマジックリボルバーの正式名称は【マジックリボルバー黄龍】というレアドロップであり、そのレアドロップの中でも希少価値の高い【ソウルウエポン】だったのだ。





ソウルウエポン。それはアイテム事態が【生きている】アイテムであり、所有者の実力によって性能も変わる。



リーダーにはソウルウエポンについて説明しても



『そんないつでも手に入るアイテムなんて必要ないな。』



とか言ってコイツの強さについて考えることもしなかった。


まぁそもそもがソウルウエポンの情報は出回らない。情報社会のこのご時世なのにも関わらず1つも話が出ないのだ。



「情報規制されてるって考えるのが普通だよな?」



日本だけじゃなくて外国のニュースや過去の調べられるダンジョンアイテム関係を調べても一個も出ないのは普通なら何かあると思うだろう。




それに‥いや




「それよりもまずは仕入れだ仕入れ!!‥確かこっちの方にアイツラの生息地があった筈だ。」


今はソウルウエポンよりも大事なことがあるのを思い出した俺は目的地をへと向かう。


戦う準備をしながら歩いてるその道はダンジョン入口からすぐの場所の砂利道から外れていき、ダンジョン入口の裏側に回るように向かうと目的の場所がある。




「‥‥よし、沢山いるな。」




目的地に着くとソコには俺の狙っていたモンスターである



「ぐぎょおおお!!」


「ぐぎょ!ぐぎょ!」



「ギュオオオオオ!!」




「初めての仕入れは【武者ゴブリン】で決まりだ!」




このダンジョン特有の【武者】と名前に付くモンスターである武者ゴブリンの巣にたどり着いた。






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