第7話 彼女にプレゼント
タクシーで向かった場所は、田舎に唯一ある大きめのデパートみたいな場所。
一階には、食料品。
二階には、服など。
三階には、子供用品。
四階には、ちょっとした家具や電化製品が並んでいる。
こんな所くらいしか無いけど……
なんでもいいから、プレゼントしたかったんだ。
付き合った記念みたいな、感じかな。こんな所で申し訳ないけど、時間的にも出掛けるには微妙だし。
なんて、考えながらみちるをチラッと見ると嬉しそうな顔で服を見ていたから、ホッとした。
「みちる~!靴見ようよ!!」
そう言って、靴屋さんに連れて行くと楽しそうな表情をしてミュールを見ているが、気を使っているのだろうか?
2980円だの、3980円だのの安物ばっかり見ている。
いい子だな……
なんて思いながらみちるの視線を追っていると、みちるの視線が華奢な作りのミュールを捉えている。今までみちるが見ていたのは、いかにも安物って感じのミュールだったけど、今みちるが見ているのはそれなりに良い靴だと思う。
何より__
みちるに凄く似合いそうだ__
「みちるー!それ、絶対みちるに似合うって!!それにしよう!!!」
そんな事を言いながら、みちるが見ていたミュールを手に取った。
「でも……。高いよ。もっと、安くていいのあるかもしれないし……」
みちるはそう言ってるけど、値段は12800円。全然、大丈夫な値段だと思うけどな。なんて、思いながらも遠慮がちなみちるが可愛くて仕方がない。
「いーの!いーの!みちるに似合いそうだから、プレゼント!って、ただ、これを履いているみちるが見たいだけだけど~!!」
ミュールを買って、次は香水を見に行く。なんとなくさ、自分がプレゼントした香水をみちるにつけて欲しかったんだよね。
「みちるはどんな匂いが好き?」
そう言うと、一生懸命な姿で色んな香水の匂いを嗅いでいるみちるの姿が可愛いくて、みちるを凝視してしまう。
なんだか、幼い子供みたいなんだよなぁ。
「んー。キツい匂いは嫌い。
ちょっと甘い系の匂いが好きだなぁ」
そう言うみちるに甘い系の香りの香水を教えてあげて、みちるの好きな香りに辿り着いた。
良かったよ。
妹が香水好きで、俺もちょっと詳しいんだよね。なんて思いながら、会計を済ませる。
「晩飯ついでに何か食べて帰ろう!」
「じゃぁー!あそこ!!」
子供っぽい笑顔を浮かべながら、みちるが指差した場所はファーストフード店。
みちるってさ、一見すると男に貢がせているようなイメージすらあるんだ。そんな女の子がファーストフード店くらいで楽しそうにしている。
と、いうギャップが可愛らしい。
みちるは本当に可愛いよ__
くだらない話をしながら、2人でハンバーガーにかぶりつく。たったそれだけの事に幸せを感じれる俺は本当に幸せ者だと思うんだ。
お腹いっぱいになったら、アパートに戻って嬉しそうな表情ではしゃぎながら、プレゼントの袋を開けているみちるを見て本気でこの子を守りたいって思ったんだ。
俺のプレゼントした香水を大事そうに、少しだけ身体に身に付けるみちるが可愛くて仕方がなかったんだ。
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