第41話

ナースは詰め寄り、

「誰なんですか!?

私の知ってる人ですか!?」


目に涙をたくさん浮かべながら、必死に堪えている。


そんなナースとまた少し距離を置きながら、

「うーん、言う必要、ある?」


と。


先生方がみんな、目を見開いたのがわかった。

こんなに冷たい感じで話す彼は、私も見たことがない。


「誰か教えてください!

教えてくれないと諦めません!」


強い、この人。

龍太郎の様子にも気付いていないみたいで。


なんて答えるのかな?

一応、私は知らせても大丈夫だって言ってあるけど…。


「君が教えて欲しくても、俺が言いたくない。

その子のことは本当に大切だから、簡単には言えない。


ここの医局のメンバーにさえ、まだ言えてないんだ。

言うとしたら、君が最初ではない。


だから諦めてほしい」


はっきりと。

そして淡々と。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る