第32話

嬉しそうに抱きつく笑ちゃんを見ながら、今でもたまにこの関係が信じられないって思う時がある。


初めて告白したとき、心臓が口から出る勢いだった。

手汗が凄くて緊張がひどかった。


でも、今思えば、あんなに緊張したのは国試当日くらい…というかもはやそれ以上だったけど、気持ちを伝えてよかったと思う。


あのとき、

「笑ちゃんが好きなんだ。

ずっと前から。


俺と付き合って欲しい」



って、なんとか目を見て言えて、すぐ俯いてしまった。

笑ちゃんがどんな反応、どんな表情をするのかわからなくて。

嬉しい?悲しい?困る?

いい反応だったらいいな…と思っていたけど、実際に見る勇気がなくて。


俺が俯いてからも、笑ちゃんからはなんの反応もなかった。


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