第30話
基本的にナースとか医局の人と一緒にいるんだけど、今日は昼はほぼ誰もいなかったし、お昼ご飯のあとに飲み物を買いに行った帰りに高沢先生に捕まった。
高沢先生、結構しつこいんだよね…。
でも、
「私も機会なんてないからね?」
はっきりと彼に言う。
絶対に有り得ないよ。
「あったら困ります」
龍太郎は心配性だ。
でも1番に相手を想うから本当は嫌なことでも黙って我慢する。
今も、さっきまでとは違って嬉しそう。
初めてこの表情を見たとき、言葉にするって大事なんだなって実感したのを覚えている。
「ほんと、困っちゃうね。
笑ちゃん、可愛すぎるんだもん」
「え、そんなこと…え?」
だもん、って言い方に可愛いと思いつつも、好きな人から可愛いって言われることの破壊力すごくて動揺が隠せない。
なんで本当に困った表情してるんだろう。
龍太郎だって、カッコよくて困っちゃうんだけど。
そう思いつつも、まだ破壊力すごくて何も言えない。
「笑ちゃん、照れてる?
え、もっと可愛いんだけど」
「や、やめて…恥ずかしい…」
嬉しそうに顔を覗き込もうとする彼を防いで、抱きつく。
観念したのか、抱き締めて頭を撫でてくれる。
これが落ち着くんだよね。
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