第29話

少し沈黙があったと思うと、いきなり


「あっ。今日のナースとは機会なんてないからね!」


と、ソファー勢いよく座りながら言う。

まだボタンが開いている胸元が色っぽくて困る。


私は立っているから見下ろす感じになるんだけど…、龍太郎が上目遣いになっちゃって可愛いなこれ。


というか、今日のナース…って、あれか。

「あったら困ります」


「俺は笑ちゃん一筋だし」



…こういうことを普通に言うからこっちが恥ずかしくなる。


「…ありがと。龍太郎」


でも、結構嬉しい。

隣に座って彼を見て言う。


彼も微笑んでくれる…がいきなりハッとした表情に。

え?


「そういえば、笑ちゃんさぁ…今日内科の高沢にディナー誘われてたでしょ?」


あぁ…あれか。

見られていたのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る