第12話

勤務中よりグロス3倍増しのナース。

氷室先生にくっつきながら上目遣いもプラス。


周りにいるナースも似たような感じ。


氷室先生の笑顔でみんな目がハートになる勢いだ。



残念そうな声を出しながらも、彼に触れられたことに満足して、諦めてナースたちが去っていく…と、思いきや。


「桜坂先生ばっかりずるいわよね」

「そうそう!いつも先生と一緒にいるんだから」


…え。

驚きで何も言えなかった。


いつも一緒?ずるい?

同じ医局なんだから、一緒にいることが多いのは、ずるいとは言わないんじゃない…?


でも、正直慣れてしまった。


「すみませんっ氷室先生」


その声で我に返った。

ナースの後ろ姿を見つめてながらボーッとしていたみたい。


犬男が謝っている。


「まぁ、仕方ないよ。

あの人たち、結構しつこいから気をつけてね?」


服についたらしい、ファンデーションをはたきながら言う。

たしかに…しつこいのはなんとなくわかる気がする。


その後、話を聞くと今までに何回も誘われていたらしい。

全部、用事があるとか仕事を理由にして断ってるみたいだけど。




モテる男は大変だなぁ。なんて思った。

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