第11話

「諸見里先生もいるわよ!」

「あら、本当ね!」


40歳のベテランナースは犬男こと諸見里先生をロックオン。



犬男、可哀想なくらい顔が引きつっている。


だが、やはり近付いてくる彼女たち。



「先生~

私たち今仕事終わったんですぅ。


一緒に食事でも行きませんかぁ?」



どこから出てるの…その声。

私、年齢相応の話し方をしない人はちょっと…ね。



なんて思いながら、


「いや…あの…」



いつの間にか両サイド腕を絡められて、逃げられない2人を見つめる。


犬男は恐れているかのような反応。


この人たちは、迷惑がってるのに気付かないのかな?



横目で犬男を見た氷室先生は


「ごめんなさい、俺たちこれから仕事の話があるんです。

だから…またいつか機会があれば」




絡められている腕をゆっくりと外しながら、にっこり対応する。


犬男も真似するように、ゆっくりとナースの腕を離させる。



そして、安心したように氷室先生を見つめた。




「仕事なら仕方ないですけどぉ~

今度絶対行きましょうねぇ!」

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