第8話

なんで後藤医局長?と不思議に思いながら

「あれっ。荒川先生かと…」


なんて。



すると、もそもそ起き上がった医局長は


「荒川は学会で大阪。俺は今日当直ー」



めちゃくちゃ眠そうに答えてくれた。

あぁ、そういえば学会って言ってたかも。



「そういえばそうでしたね!

荒川先生の担当の患者さんは今日だけ氷室先生にって仰ってましたよ」


「そうそう。

荒川先生から直接言われたよ」



犬男は思い出したようだが、氷室先生は最初から覚えていたみたい。


周りをうかがっていると

「ふわぁ…よし、じゃあ今日は氷室に任せる。

桜坂と諸見里は氷室が大変そうだったら手伝ってやれ」



眠そうな顔から一変。



「「「はい!」」」



キリッとした医局長の表情に、私たちも引き締まる気持ちで返事をした。


そこからみんな、担当する患者さんのカルテを確認したり夜中の様子を夜勤でいたナースに聞きに行った。



私は午前中は外来だから、昼まで戻って来れないと思う。

そんなことを考えて、必要なものを用意していた。

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