第5話

後ろから声が聞こえた。

…ん?聞き覚えがある。



さらに滑りそうになりながらゆっくりと振り返ると…そこには氷室先生。



転びすぎって言われても…


「ぅわっ…

だって仕方ないじゃん!


ぅおっ」



運動靴にしたはいいけど、スニーカーだからかツルツルいく。

逆にヒールあった方が突き刺さってよかったかな?なんて思うが戻る時間もない。


ゆっくりと歩き続けようとしたけど、尚も雪に足が取られて滑り続ける私。



本格的にヤバいと感じた時はどうすることも出来なかった。



ガシッ。



氷室先生が後ろから抱きしめ、転ばないようにしてくれた。

…申し訳ない。



離れようにもツルツル滑って簡単に離れられないのだけれど…。



この人…、氷室先生って、なんか…。

こんなかっこいいことを普通にやってのけちゃうんだな。


…なんで彼は滑らないんだろう。

私はひたすら滑っているのに。



「大丈夫?」


そんな問いかけにハッとした。

軽くボーっとしてたみたい。


抱き締められたままでいた。



「えっ、あっ。うん!

大丈夫!ごめんね!」



誰かに見られたらまずい気がする。


ゆっくり離れようとすると…



「あー!!


氷室先生に桜坂先生!

何やってるんですか!?」







やはり…、何か来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る