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後ろから声が聞こえた。

…ん?聞き覚えがある。



さらに滑りそうになりながらゆっくりと振り返ると…そこには氷室先生。



転びすぎって言われても…


「ぅわっ…

だって仕方ないじゃん!


ぅおっ」



運動靴にしたはいいけど、スニーカーだからかツルツルいく。

逆にヒールあった方が突き刺さってよかったかな?なんて思うが戻る時間もない。


ゆっくりと歩き続けようとしたけど、尚も雪に足が取られて滑り続ける私。



本格的にヤバいと感じた時はどうすることも出来なかった。



ガシッ。



氷室先生が後ろから抱きしめ、転ばないようにしてくれた。

…申し訳ない。



離れようにもツルツル滑って簡単に離れられないのだけれど…。



この人…、氷室先生って、なんか…。

こんなかっこいいことを普通にやってのけちゃうんだな。


…なんで彼は滑らないんだろう。

私はひたすら滑っているのに。



「大丈夫?」


そんな問いかけにハッとした。

軽くボーっとしてたみたい。


抱き締められたままでいた。



「えっ、あっ。うん!

大丈夫!ごめんね!」



誰かに見られたらまずい気がする。


ゆっくり離れようとすると…



「あー!!


氷室先生に桜坂先生!

何やってるんですか!?」







やはり…、何か来た。

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