第37話





 いまだに近辺に何があるか知らないあたしは、そう思うしかなかった。



「どう?ダメかな……?」



 ねだるように目を潤わせて尋ねてきた零二に、あたしは笑みを見せて「いいですよ」と答えた。



 まぁ、何も問題ないだろ。



 安易な考えで零二の誘いに答えると、零二はパァーッと花が咲いたように、満面の笑みをあたしに見せる。



 それほど喜びますかねぇ?普通。



 零二の反応にあたしが疑問を抱いていると、零二はそんなあたしをよそに、腕をつかむ。



「えっ!?」



 いきなりつかまれた腕に驚いて声を出すと、零二は笑顔で「行こう!」と言って走り出す。それにあたしは驚きが続いていて、落ち着く暇もなく、息も落ち着かない。



 あたしに落ち着く時間をあたえてくださいっ!!






 零二に連れられてきた場所は、全国に展開する某有名なショッピングモール。

 あたしは零二の手から腕を放してもらい、ショッピングモールの中をキョロキョロ見る。零二はそんなあたしに気づいて、声をかけてきた。



「どーしたの?恭ちゃん。もしかして……初めて来た?」

「あ……はい。こっちに来てからはまだ、外に出た事が少ないので……」



 基本、通学路を知っていれば、問題ないかと思っていたからね。





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