第32話





 抗の表情を壊すように、あたしは平然と言ってみせる。それに抗は、表情も体も固めた。

 固まっている抗に対し辰己が、あたしの顔を見て言う。



「それがお前にとっていいなら、それでいい。あとは勝手に、屋上にでも俺達の所にでも来い」



 辰己が睨むようにあたしの顔を見て言い捨てると、背中を向けて歩き出した。



 優しいのか……めんどくさがりなのか……はっきりしてよ。






 昼休みの一件から時間が経ち、放課後。あたしは再び、屋上に訪れた。



「失礼しま……」

「待ってたよ!恭ちゃんっ!」



 恐る恐る、屋上の扉を開くと、零二が笑顔で迎えてくれた。が、その顔が酷い。



「うわっ!!零二先輩っっ!!??どうしたんですか!?顔が赤く腫れてますけど!!??」



 昔見たアニメに出てくる主人公が、顔を複数人に殴られたように、赤く腫れている。それに零二は答えにくそうに、苦笑いを浮かべている。



 笑い事じゃ……っっ!!!



 あたしは慌てて氷水を取りに屋上から出て行こうと、クルッと零二に背中を向けた時、屋上の扉の前に砦が立つ。



「恭ちゃん、零二の事なんか気にしなくていいよ。自分でした事に対する罰だから」

「いや、でも……」



 微笑んで話す砦の言葉にあたしは、振り返って零二の顔を見る。



 いくら罰でも、やりすぎだろ……。





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