第31話





 あたしはずっと辰己を真っ直ぐ見ていると、辰己は口を開いた。



「……お前はバカだな」

「なっ!?」



 いきなり馬鹿って何!?



 辰己に言われた言葉に驚いていると、辰己はあたしの目を見て言ってきた。



「蒼連に目をつけられた。だから……」

「俺達と一緒にいろ、恭。守ってやる」



 辰己が言おうとしていた言葉を察したのか、抗が続けた。その言葉にあたしは、驚きの声を一段大きく出した。



 あたし、抗と一緒にいただけで、目つけられたの!?



 その点に驚いていると、抗が言う。



「悪い、恭。俺のせいで恭に迷惑かけて……。でも、俺達を信じてくれ。絶対、恭を守るから」



 真っ直ぐあたしの目を見て言ってきた抗に、あたしは答えに迷う。



 どうする……あたしの正体が……。



 そこまで考えて、答えを出した。



「それじゃあ、お言葉に甘えて」



 笑顔で答えたあたしに、辰己は嫌そうな表情で睨む。それに対し抗は、安心した表情を見せる。



 あたしが出した判断は、馬鹿だと思うよ。自分でもそう思う。ただ……。



「ただ、この関係は、蒼連との決着がつくまでにして下さい」



 ひとつの条件を辰己の顔を見て出すと、辰己はそっぽを向いて「勝手にしろ」と言った。それに否定はしなかったと受け止め、あたしはお礼を言う。



 これで、ある程度問題はないだろ。



 安易な考えかもしれないが、今否定するよりはいい選択をしたと思う。



 今否定すると、間違いなく怪しまれるだろうからね。



 心の中でそう思っていると、抗があたしに小さい笑みだが嬉しそうな顔を見せて言う。



「じゃあ今日の放課後、俺達のたまり場に……」

「行かないよ。表向きのつきあいでいいでしょ?」





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