第30話
もしかしてあたし、やらかした……?
したっぱ二人と抗の間に見えない火花が飛んでいるのを見ながらあたしは、苦笑いを浮かべている。すると、あたしの後ろから低い声が聞こえた。
「ここで何をしている」
先程まで聞いていた声にあたしは、後ろを見る。すると後ろには、やはり屋上で見た人がいた。
「三堂辰己……!」
したっぱの一人がそう言うと、辰己があたしの横を通り過ぎ、前に出る。それに抗が辰己の横に立とうとするが、辰己は抗に鋭い眼を向ける。
なんで抗を睨むの!?
辰己の行動に疑問を抱いていると、辰己はあたしに目を向けた。
「……」
鋭い眼であたしを見たかと思うと、したっぱに目を向ける。
だからなんで、あたしも睨んだの!?
辰己の目つきにあたしはさらに疑問を抱いていると、辰己がしたっぱに言い放った。
「失せろ」
低い声で言い放った言葉に、したっぱは少し出された殺気にビビり、逃げ足で消えていった。その姿にあたしは、残念に思った。
あーあ。これくらいで逃げるんだ。
蒼連のしたっぱ二人を黙って見ていると、辰己があたしと抗を見る。
「勝手な真似をするな、抗。面倒を起こすのは零二と圭だけでいい」
「……悪い、辰己。でも!」
「ただの転校生だろ。関わらせるな」
低い声で眉間にしわを寄せ、いかにも不機嫌な辰己と、ただ唇を悔しそうにかみしめて黙る抗の姿を黙って見ていたあたしは、抗の前に立ち、辰己の顔を真っ直ぐ見て言う。
「そんな言い草、ないと思います。抗は転校生であるあたしを気にして、いろいろ教えてくれてるんです。確かにあたしは一般人で辰己先輩達とは無縁ですが、抗の行為を踏みにじるような言い方はしないで下さい」
そこまで言い切ると辰己は、あたしを鋭く見る。それでも怯まないあたしに辰己は、ため息をひとつついた。
こんな事で怯む訳ないじゃん!
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